第6話

「おいおい。Eランクごときが練習なんてしてんじゃねーよ。どうせ上手くもならねーから」

振り返ると黄色が主の制服を着た男4人が、ニヤニヤと好戦的な表情を向け近づいてくる。

「ここは俺らの場所だ。早く帰れ」

「はあ?意味わかんない。ここは誰が使っても良い場所でしょ!?アタシたちが最初だったんだからアンタたちが帰りなさいよ!」

「やめとけ藍水」

この学校は完全なる成績主義。

規則として、『下のものは上に逆らうことを禁止とする』と明記されていた。

何度思考しようとも理不尽な校則だが上のランクに歯向かう事は許されない。ここで問題を起こせば俺たちの責任になるだろう。

「何だよ拓真、上の奴らには何も言えないのかよ」

「そういうことじゃねーよ」

この二人は要項冊子を読んでいないに違いない。

下手に嬰鱗させる前にどうにかしてこの状況を切り抜けたい。

「あーあ、そんな敵意を剥き出しにして良いのかな?これを報告すれば、お前たち退学に前進だな」「どうせポイントも持ってないだろうから、お金で良いわ。持ってるお金全部出したら見逃してやるよ」

リーダー的存在の男が哄笑する。ノイズの混じったようになんとも不気味な笑い声は一直に耳内へと伝わってくる。

「何言ってるの?どう考えたってアンタたちが報告される側でしょ!」

「お前..俺たちの方が偉いことを知っているのか?」

「それが?渡すものもないし、早くどきなさいよ」

一度開いてしまった口撃は止まることを知らない。

「はあ...うるせえなあ。じやあ痛い目でも合わせてやるか...お前らやるぞ」

リーダーの掛け声に、4人が一斉に刀を抜く。

「面倒くさいことになったな。おい、早く逃げる...」

そう呼びかけようとしたが、誰一人動ける様子出なかった。

樫谷は目を見張ったまま立ちすくみ、藍水は戦くように体が震えている。藤桜は地面に座り込んでいた。

「あれ?さっきまでの威勢はどうしたよ?まあ大丈夫。殺すことまではしないから。殺したら俺らが退学になるからな」

確かに権力は上のランクの者が有するわけだが、もし如何なる理由があろうとも殺してしまった場合は即刻退学。

認可されようとも襲いかかってくる奴等だが、最低限の規則は弁えているようだ。

「本当めんどくせーな」

「あ?」

「脅してまで権力を誇示したいか?その権柄ずくさは残念だが弱者にしか見えないぞ?」

嘲笑うように真正面から言葉を言い放ってやった。そんな俺の態度に激昂しているのか、襲いかかってくるのも時間の問題だ。

「舐めたこと言ってくれるな。じゃあお前から潰してやるよ」

「お手柔らかに」

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