さてと誰に相談すべきか
「楓姉ちゃんの未来の読者がだよ。楓姉ちゃんが作品を書き続けていたらそれで救われる人もいるかも知れない。生きるエネルギーを貰える人もいるかも知れない。その人たちが救われないのがさ。悲しいと思って」
俺は言った。
楓姉ちゃんはそれを聞いて少し思い悩んだ。そして俺の方を見ながら言う。
「上手いこというねーー。でも私はそんな言葉には騙されないよ。私には才能がないってプロの編集者の人に言われたんだから。言ってくれて良かったよ。あの一言で全部断ち切る勇気が持てた。だから私が作品を書いても誰も救われないよ」
と楓姉ちゃんは言った。
「楓姉ちゃん。俺楓姉ちゃんに一言だけ言いたいことがあるんだけど」
俺は言った。
「え? なに。急に怖い」
と楓姉ちゃんはふざけたように言う。
「楓姉ちゃんは才能あるよ。俺は天才だと思ってる。子供の頃さ。そこの河原でよくオリジナルの話を作って俺に教えてくれたじゃん。俺それを夢中になって聞いてたんだよ。どんな漫画より面白いって思った。楓姉ちゃんも知ってると思うけど俺の家庭その時ボロボロだったからさ」
俺は言った。
「うん……」
「俺は楓姉ちゃんの作り話に助けられた。嘘でも人を助ける嘘があるんだって思った。俺にとって楓姉ちゃんは天才なんだよ。夢を捨てて結婚すればいい。好きにすればいい。
でも楓姉ちゃんの作り話が誰かを救ったってことは事実なんだ。それは絶対に嘘なんかじゃない」
俺は言った。
「うん。ありがと」
楓姉ちゃんは力なく笑った。
◇
次の日俺は学校に来ていた。
「はぁ……」
俺はため息をつく。放課後俺はブラブラと歩いていた。楓姉ちゃんの件なんとかならないかなぁ。少なくとも俺は誰かに相談したかった。なんだか胸がモヤモヤしていた。俺は楓姉ちゃんに結婚して欲しくないだけなのか、それとも夢を追って欲しいのか?
どの口が言えるんだ。夢を追うことに疲れた人に対して自分のお気持ちだけで夢を追えと言うのか?
俺は廊下を歩いていると
あれ?
ミカゲとウサ先輩が廊下でなにやら床を見つめながら話をしていた。
「お疲れっす。なにやってるんですか」
俺は聞いた。
「触るな!」
ウサ先輩は俺に怒鳴る。ミカゲも俺を睨んでいる。
「お前この一級呪術結界を踏むと大変なことになるぞ」
ウサ先輩が言う。一級呪術結界ってこの床のシミのこと?
「私たちまで危険な目に合わせるつもりですか!」
ミカゲは俺に怒る。
……なんかまた変なことをやってるな。この二人は。
「さてと、我々一級討魔師の役割はこの結界を破壊もしくは永久に封印することだ」
とウサ先輩が床のシミを見つめて言う。
「しかし、誰が学校にこんな結界を……相当な使い手ですね」
ミカゲは言う。
「二人とも楽しそーだな。おい」
俺は言った。
「しかも、これだけの呪術。普通は能力者の力の残滓が残っているハズだ。だが、ここにはそれがない。もしや……あいつか?」
ウサ先輩はそう言いながらミカゲを見る。
「あいつ……? あいつって誰ですか? ウサ一級術師」
ミカゲ一級呪術はそう言った。
「あいつ? あいつとは……ミカゲ一級呪術。それは君が最もよく知る人物だよ。私の口から言わせるのかね」
ニヤリと笑ってウサ先輩は言った。
「私がよく知る人物……」
ミカゲは言う。
「いや、ふわふわした会話やめろ! なんだよあいつって! なんだよその謎なパスの出し合いは!」
俺はそう突っ込んだ。
「あいつ……確か抜け忍の小次郎丸ですかね」
ミカゲは言った。
「小次郎丸? 誰だそれは」
ウサ先輩が言う。
「いや、ウサ先輩も知ってるような口ぶりでしたよね!」
俺は突っ込む。
「あの……風の刃と呼ばれた下忍ですよ。下忍でありながら、誰にも見つからず、かの小田原城の大名を単独で暗殺した。その刃は凄まじく首を切られた大名は自分が死んでいることに気づかす3歩ほど歩いたあと息絶えたとか。あと実は外国人でかつ女だって噂もあります」
ミカゲは言う。
「ミカゲくん。それは流石に設定詰め込みすぎじゃないかね。設定詰めすぎるとキャラに物語を引っ張られすぎるとあれだけ言っただろう」
ウサ先輩は言う。
「チッィ! じゃあ自分で作れよ。あぁなんでもないです。分かりました」
ミカゲは言う。
「創作のことはボクになんでも聞いてくれたまえ。いつでも答えよう」
ウサ先輩は胸を張って言った。
え? 創作。ひょっとしたら楓姉ちゃんの件ウサ先輩に相談出来るかも!
「ウサ先輩! ちょっと相談したいんですけどいいですか?」
俺は聞いた。
◇
次はどうなる?
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新作書きましたので読んでください!
うつ病でボロボロだった俺のところに姉妹が二人看病にやってきた。で、二人とも俺のことが好き?うえええええ!!?
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