イジメられていた俺はクラスの女子から罰ゲームで告白される。かと思いきやガチの好きの告白だった!ついでに俺をイジメてた奴はネットで晒され社会的に死ぬことに

水ManJu

嘘告かと思ったらガチじゃん!

「おい。あいつキメェよなぁ」クスクスと陽キャたちの笑い声が聞こえる。学校の休み時間俺はじっと聞こえないフリして耐えていた。


俺の名前は神谷悠斗。高校2年生。そして、俺はイジメられていた。加害者は主にクラスの陽キャ連中。その主犯格の成宮龍二に。理由? 特にない。ただあいつに目をつけられた。それだけ。


学校のチャイムが鳴り今日も学校が終わる。

「はぁ……」俺はため息をつくと速攻廊下に飛び出した。もうこんなクソみたいな学校にはいたくない。


しかし

「ねぇあれ神谷くんだよね」

「絶対そうだよ」

クスクスと笑う女子たち。クソッなんだよこいつら死ねよ! 俺は心の中で舌打ちする。


「葵行きなよ」

「無理だよ……いけないよ」

あーこのパターーンね。どこまで俺を馬鹿にするんだよ! 嘘告かよ。最悪だな。こいつら。


「あのっ! すいません。お話ししたいことがあるんですがっ!」と女子たちのグループから女の子が一人俺の方に走り寄る。


小柄な美少女だった。髪の毛はショートカットで……別のクラスの女の子だった。活発系かな。俺みたいな陰キャとは正反対のタイプだな。しかし、俺はこの子の名前を知っている。大西葵だった。


不信感に包まれていた俺はキッっとその子を睨んだ。

「なんだよ! 話って!」

俺はキレそうに成りながら言う。

「あのっ! 今から音楽室に来てもらうことは出来ますか?」


え? なんだよ。なんで……


「あぁいいよ」

俺は言った。どうにでもなれだ。


俺たちは音楽室に向かった。

「頑張って! 葵!」

葵の友人が音楽室の前で言う。

「うん」

葵は音楽室の扉を閉めて、音楽室は俺と葵の二人きりになる。


「あのっ!」

葵の声が響く。夕焼けの音楽室。夕暮れの赤い光が俺と葵を照らしていた。

「神谷くんのことが好きです。ずっと前から好きでした!」


葵の声が響く。あーーそうか。なるほどね。で、どこにスマホを隠してあるのかな? ピアノのとこかな? カーテンのところかな? 俺が告白をオッケーしたら、テッテレーー。ドッキリでした。そのタイミングを待ってるんだろうなぁ。こいつら。つまんねぇこと考えつくなぁ。


俺はキョロキョロを音楽室を見る。どこだ? 隠しカメラは……

「あの……駄目ですか?」

と葵は泣きそうになりながら言う。


「なんで俺のことが好きになったの?」

俺は聞いた。すると葵はスマホを取り出した。そしていきなり動画を流し始める。


「うおおおおおお!!!!」

っとスマホから音が聞こえる。ん? なんだ?


「ワンちゃん無事だったか」

「やったな兄ちゃん!」


葵のスマホから動画の音声が流れる。


「一週間前に溺れそうな犬を助けましたよね? その時私見てたんです」

と葵は動画を俺に見せながら言う。葵のスマホにはずぶ濡れになりながら犬を助ける俺の動画が流れていた。


一週間前


俺は確かにあの時仔犬を助けた。


川は増水で急流になり、川の斜面のところに仔犬が掴まっていた。


俺は許せなかった。ただ遠巻きに見ている連中が。俺は仔犬と自分が重なったんだと思う。


きっとあの時もう少し待てば警察官なりなんなりがなんとかしてくれるのだろう。


だが、俺はそんなことどうでも良かった。


俺が犬を抱えると群衆が

「うおおおおおおお!!!!」

っと歓声をあげた。


警官は俺をお手柄だと褒めつつ危ないよと注意をした。

その警官に俺は憮然として答えた。

「ただ見つめるだけの傍観者は嫌だったんです」


きっと俺は誰かに助けて欲しかったのだ。イジメを見てるだけの存在より助けてくれる存在であって欲しかった。


この世界がそんな世界であって欲しかったのだ。


大西葵が俺に言う。


「ずっと前から神谷くんのことは見てました。でもこの事件から神谷くんのことが頭から離れなくて……! 神谷くんに思いを伝えたいってそう思ったんです!」

熱っぽく葵は言う。


なかなかの演技派だな。俺は知ってる。世界は俺が願ったように甘くはない。俺は思わず心動かされそうになる。だが、ここで心を鬼にして断らなきゃプギャられる。


「ふざけんな」


「えっ?」


「俺がイジメられてることは知ってるんだろ? 罰ゲームだよな。それ」

心を鬼にして俺は言った。これで終わりだ。俺はそんな手には引っかからない。


「罰ゲーム?」

と言うと葵は一筋の涙を流した。え? なんで?


「罰ゲームじゃないです。本気です」

涙を人差し指で拭いながら葵は言う。


え? まだ続けるの? それともこれガチのやつ?


葵は俺に急に詰め寄ってきた。え? あっ!

「好きだってことを証明するためにはどうすればいいですか?」

葵は言う。


「えっ?」


「キスします」

「えっ?」


葵は俺にキスをした。ガチでキスをした。時が止まる音楽室。カチッカチッっと壁掛け時計の音だけが響く。静まり返る俺たち。


俺の全神経が唇に集中する。ドクッドクッ……心臓の音がうるさい。俺の心臓の音が目の前の葵にも聞かれるんじゃないか。そんな気さえする。


この一瞬で俺の疑いに満ちた心は溶かされていくようだった。


クチュ……剥がれる俺の唇と葵の唇。


「大西さん……なんでこんなことを……」

俺はつぶやく。

「なんでって……言ったじゃないですか。好きだからって」

葵は今までに見たことがないような妖艶な笑みを浮かべた。ガチじゃんこれ……


「抱きしめてください」

と葵は言う。いやっ……でも隠しカメラが……

「えいっ!」っと葵は俺の体を急に抱きしめてきた。


あっ……ああああああ……溶かされるっ!……警戒心がドロドロに溶かされる。


「悠斗くんも私を抱きしめてください」

と葵は言うと俺は両腕を使い葵を抱きしめた。


なんだよ……なんで急に青春が疾走したんだよ。俺は……


「助けられなかったんです」

葵は俺の胸の中でそう言う。


「え?」


「あの時のワンちゃんが溺れてる時も、悠斗くんがイジメられている時も、私に出来ることがあったハズなんです! でもなにも出来なかった!」

俺を見上げながら葵は言う。


「見捨てたくないんです! 悠斗くんも! 私の心も! 悠斗くん好きです!」

と俺の胸の中で葵は告白した。


「あ……はい……」

心音と心音。呼吸と呼吸が重なり合う。それらが夕焼けの赤に一つになって溶けていった。放課後、夕焼けの音楽室。俺は葵と抱きしめ合っていた。


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あと新作書きました!



役立たずと思われていた俺の能力は最強の魔王術だった。魔界の姫君が俺と結ばれて魔界の英雄を産みたいらしい。元いたギルドが潰れた?俺には関係ないね


https://kakuyomu.jp/works/16816700427752953620/episodes/16816700427753030941



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