私は悠斗くんのことが好き!
「はぁ……」俺は家に帰っていた。ベッドで横になり今日起こったことを思い出す。
「見捨てたくないんです! 悠斗くんも! 私の心も! 悠斗くん好きです!」
葵のあの言葉が思い出される。あれは本気だったのだろうか……それとも嘘告なのだろうか。あの後、俺は葵と連絡先を交換してその場を離れた。
いや浮かれるな! 悠斗! そんな上手い話があるハズない。俺は騙されないぞ!
♫ スマホから着信が鳴る。! 葵からだ。俺は出た。
「あっ! 悠斗くん。電話しちゃった!」
葵がそう言った。女の子から電話なんて初めてた。
「うん。どうしたの?」俺は葵に聞く。
「私達付き合ってるからいつでも電話してもいいかなって」
葵が可笑しそうに言う。
「いや、付き合った覚えはないけど……はっ!」
俺は思わず本音を話してしまう。そうだ。キスだって告白だって一方的だった。俺は別に付き合うなんて言ってない。
「え? 嘘!」
向こうから葵の驚いた声が聞こえる。しばらく俺たちは沈黙する。
「私のこと嫌いですか?」葵が俺に言う。
「嫌いじゃないよ。ただ、大西さんのことがよく分からなくて……」俺は言った。
「葵です」
「え?」
「葵です。名前呼びで。悠斗くん」
葵はそう言う。
「じゃあ葵ちゃん……」
「むぅ……呼び捨てでいいのに。でもそれでもいいですよ」と楽しそうに言った。
「葵ちゃんはなんで俺のことが好きなの?」
俺は聞いた。なにを聞いてんだと一瞬思ったがもうこれは勢いだ。
「分かんないです。気がついたら好きになってました」葵が言う。
「本当……なの?」俺は聞いた。
「はい。今日告白して、今日キスして、分かったんです。やっぱり好きなんだって。好きじゃなかったらキスなんてしてないです」葵が言う。
「うん……」俺は納得いかないような感じで言った。葵は普通に美少女だ。ショートカットで陸上部のエースだった。そんな子がなぜ……
「ちょっとビデオカメラにしますね」
と葵は言う。ビデオカメラ? スマホをしばらく眺めると画面に葵の顔が映った。
「どうです。映ってますか?」
そう葵は言う。
「あ……あぁ」
「キャ! 恥ずっ!。部屋映っちゃった」
葵が照れながら言った。
「悠斗くんもカメラ起動してください」
葵が言う。俺は言うとおりにカメラを起動した。
「カメラ越しだけど、ちゃんと言いますね」
と言う葵は深く深呼吸した。
「私はユウトくんが大好きです」
と葵は俺の目を見て言った。
「あっ……うん」
こっちの方が恥ずかしくなる。
「悠斗くんは?」葵が聞いてくる。
「あ……葵のことが好きになりかけてる」
俺は言った。実のところまだ信用出来ない。
「じゃあ叫びますね」
と言うと葵はビデオカメラをつけたままガラッっと窓のところまで歩いて行き窓を開けた。そして叫んだ。
「神谷悠斗くんのことがーーーー!! 好きーーー!!!」
っと葵は外に向かって大声で叫んだ。そして窓をピシャリと閉めた。
「!」驚く俺。
「クスッ」っと笑う葵。
「これで信用してくれた?」葵は言った。
「いや、あの……葵ちゃん」
マジか……この女。
「やっぱり好きって言葉に出さないと。悠斗くんもお返しに言ってくれますか?」葵は言う。
「葵ちゃんのことが……好き?」
俺はおっかなビックリで言った。
「ん!!!!〜〜〜!!!」
と声にならない声を上げて身悶えする葵。
「ホントに好き?」
「ホントに好き」
「んんん!!!〜〜〜〜!!!」
とまた身悶えしてベッドで転げ回る葵。
「じゃあ一緒にお風呂入りますか?」葵が言う。
「えっ?」
◇
次回二人でリモート入浴します。★ブクマハートお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます