ウサワールドから広がる異常な世界
「ほら! 陽キャ!」
と言ってミカゲはベンチを拳で叩く。
あっ! スイッチ入った。
「これだから陽キャはNGな質問して、それでその場が凍ったら質問に答えた人の責任にする。陽キャしねっ!」
と言ってミカゲは拳でベンチを叩く。
「本当いつも苦しめられて来たんですね。好きなアニメキャラを聞いてきて正直に答えたら、え? それ知らなーーい! はぁ? なに知らないマウント取ってんだよ! じゃあ趣味の世界の話でも嘘をつけってこと? お前ら陽キャが仲間のない会話をしてるとき、私らは一語一句慎重に言葉使ってんの! ただ、陰キャと好きなアニメキャラの話になっても、えーー。そのキャラ好きはミーハーだよね。みんなが言ってるから言ってるだけだよね。そのキャラ好きは作品愛ない! って謎のマウント取ってくるから陰キャも死ねっ!」
ボコンとベンチを殴る
ミカゲは止まらない。
「ミカゲそろそろ……」
俺はブレーキをかけようとする。
「それで一語一句慎重に人を傷つけないように考えて考えて。あの挨拶の仕方悪かったかなぁとか。会話の後にいっつも脳内反省会してて。やっぱり謝らなきゃって思って。それでタイミングとかシチュエーションとかイントネーションとかメチャクチャ考えて。一言ごめんなさいって謝ったら、え? なんのこと? てか声ちっさ! ってバイト先の陽キャに言われて。てかバイト先の陽キャ死ねっ!」
「おい! ちょっと何の話してんだよ! もうそろそろ」
俺は怒鳴る。
「そしたら微妙にその陽キャと関係が悪くなって。バイトリーダーに話したら解決してくれて」
「え? まだ続くの? もうそろそろやめようよ!」
俺は言う。
「でもそのバイトリーダーの先輩彼女いるのに私とご飯行きたがって。でも、この人に嫌われたらバイト居づらくなるって思ったけどやっぱり断って。でも君のことが好きだからHしたい的なこと言われて。マジでキモすぎ死ねって思ったんだだけど口には出せなくて。俺君のこと助けたからいいじゃんって言われて。は? なんで助けられたらHしないといけないんだよマジで死ねって言ったらその男が被害者ヅラして泣き出して。結局私が悪いみたいな感じになって。で、結局バイト辞めることになって。てか、あのバイトリーダーマジでしね……むぐっ……」
ウサ先輩はミカゲの口になにかを入れた。
「被験者第0号の腎臓だ。ちょっとキミはそれをしゃぶっていたまえ」
と人体模型の腎臓をミカゲの口に差し入れた。
「むぐむぐ……」
まだ喋り続けるミカゲ。いやこれ陰キャなのか?
「なんかごめんなさい。私が悪かったみたいで」
ヒナが謝る。
「いや、ヒナ。それは違う。君が悪いんだよ。ボクが正しいんだ」
ウサ先輩は言った。
「いえいえ、違います。本当に悪いのは私で……って私が悪いの?!」
ヒナが驚く。
「そうだ。ま、このボクの天才的な思考なんてキミら凡人に理解してもらおうと思わないよ。特にキミの妹は陽キャのようだからな。ボクらの敵だ」
ウサ先輩はヒナを見ながら言う。
いや、ヒナは陽キャじゃないけどな……引きこもりだから超絶インドア派なんだが……俺はチラリとヒナを見た。流石にヒナが引きこもりだってことは言えないな……
「まぁ。キミの妹はイケメンと遊びまくってるんだろ。夏の日にバーベキューとかしたりしてるんだろ? 夜には花火とかしてさ。本当に嫌らしいな。悪いが、この世界はキミらの遊び場じゃないぞ」
と勝ち誇るようにウサ先輩は言う。
「あの私引きこもりなんですけど」
とヒナが言った。
あっ! っといった表情をするウサ先輩とミカゲ。すると。
「すいませんでしたーーー!!!」
「ふいまへんでひはーーー!!!」
とウサ先輩とミカゲはヒナに土下座をした。ちなみにミカゲは口に人体模型の腎臓を入れているためこんな喋り方になっている。
「さっきからなんですか? 人を陽キャとか言って。人を馬鹿にするのもいい加減にしてください!」
ヒナは言う。
「ええ……価値観おかしくなってないか?」
俺はつぶやく。
「大変申し訳……」
ウサ先輩が謝る。
「しかもイジメられて引きこもりましたけど」
ヒナが言う。
「すいませんでしたーーー!!!」
「ふいまへんでひはーーー!!!」
ウサ先輩とミカゲが土下座した。
「キミの妹さんは素晴らしいな。陰キャの神だ。クイーンオブダークサイドだ。ボクたちが敬愛すべき存在だ。恐れ多くて妹さんの顔を直に見れないよ」
とウサ先輩が言う。
「あの……ウサ先輩。マジなのかボケなのかよく分からないのは不安になるのでやめてくれませんか? ボケるならちゃんと突っ込めるボケにしてください。突っ込みどころが多すぎて困ってるんですけど」
俺は言う。
「うふうふうううふぅふふーー!!」
とミカゲは人体模型の腎臓を口に入れながら言う。
「いや! それもう口から出せよ! いつまでやってんだよ! 人体模型の腎臓を口からだせよ!」
俺は突っ込んだ。
◇
まだまだウサ先輩とのやり取り続きます!
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