超陽キャバスターズ結成!?


「駄目なんだ。これは契約によりこの腎臓は口から出せないんだ」

ウサ先輩が言う。

「ぷはっ! そうなんです。口から出せないんです。むごっ」

とミカゲは腎臓を一回口から出して、喋ってからまた口の中に入れた。


「あの……本当……ツッコミも慈善事業じゃないんで、次からはバイト代いただきますが良いですか?」

俺は言った。


「あの……もう土下座はやめてください。怒ってませんよ」

とヒナが言う。


ウサ先輩は立ち上がりながら言った。

「キミは本当に優しい子だな。だからこそ許せんな。キミをイジメてた奴らが」

ウサ先輩はヒナを見つめて言った。


「もう良いんです。おにぃがイジメてた奴らをやっつけてくれましたから」

とヒナは笑いながら言う。

よく分からないといった表情で俺を見つめるウサ先輩とミカゲ。


「ここに来る前色々あったんですよ。でもウサ先輩。ミカゲ。本当にありがとう」

俺は言う。


「なんだ? 感謝されるようなことはしてないが……」

ウサ先輩は言った。


「ヒナが引きこもりだって聞いても二人とも引かなかったじゃないですか。他の人はそれを聞いたらみんな顔が引きつるんですよ。それが今までヒナを深く傷つけてきた。だからヒナが自分から引きこもりだって言って、冗談でもみんながそれを受け入れてくれて。それが嬉しくて」

俺は言う。


「おにぃ……」

ヒナは照れながら言う。


ウサ先輩とミカゲも照れくさそうに言う。


「だから、ウサ先輩。ミカゲ。ありがとう。ってこんな感じでいい話っぽくまとめたので、そろそろ俺たちを家に帰してくれませんか?」

俺はそう言った。


「台無しだよ! おにぃ! ちょっとウルってきてたのに!」

と言ってヒナは俺をポカスカ殴った。


「でも、今話した二人への気持ちは本当ですよ。ありがとうございました」

俺は二人にペコリとお礼を言った。


「そ、そんなお礼なんて、水くさいぞ。ボクとキミの仲じゃないかっ!」

焦りながらウサ先輩は言う。

「んふひーーふおるあふふふあー!!!」

ミカゲが言う。


「でも、お二人と出逢えて良かったです。妹の笑顔も見れた。お二人はちょっと変だけど良い人たちだって分かりました。てか、俺たちもう陽キャですよ。お互いがお互いを尊重して、人生を楽しんでいる」


「そっかボクたちは知らないうちに陽キャになってたんだな」

ウサ先輩が言う。クスリとヒナとミカゲが笑ってお互いの顔を見合わせ微笑んだ。


「だからまたこの四人で集まりましょうよ。誰一人欠けることなく。ウサ先輩がヒナにこの世界はキミの遊び場じゃないぞって言って。確かにそれは正論かも知れないけど、俺ちょっと悲しくなって」


ウサ先輩が俺をみつめる。


「この世界を俺たち四人の遊び場に変えていきましょうよ。周りにビクビクする必要なんてないですよ。まずは俺らが楽しむ。それで良いじゃないですか!」

俺はみんなに言う。


ウサ先輩は深くうなずいた。ミカゲとヒナも顔を見合わせ笑う。


「だから俺たちのグループ名を決めましょうよ。俺好きなアニメがあって。そこからもじって超陽キャバスターズ。これでどうですか?」

俺は言った。


「そうか! それはいいな! 陽キャに満ちたこの世界を『陰』の世界に作り変えるんだ」

ウサ先輩が言う。

「ぷはっ! この世界のバランスを取り戻すんですね!」

ミカゲが言った。

「陰キャが陽キャにビクビクすることのない世界を作るんだね! おにぃ!」

ヒナが言う。


「そうだ! ここに超陽キャバスターズの結成を宣言する!」

俺が言うとみんなで


「オーーーーー!!」

っと言った。


そしてお互いの顔を見合わせ笑い合った。夕焼けが長くまだ続いていた。まるで俺たちの別れを惜しむように。



面白かったら、ハート、フォロー、★で評価お願い……



「いやまだ話が終わってないんだが。いい話し風にして、話を終わらせようとするのやめてくれ」

とウサ先輩が言う。


「いやもう頑張ったじゃないですか! 俺! ストーリー終わらせようとしてたじゃないですか! まだ続けるんですか?」

俺が突っ込む。


「いや、ボクは個人的な恨みじゃなくて、ただキミが仕切ってるのが気に入らなくてね。なんかキミがリーダー的な空気感出されて勝手にグループ名決められても困る。ボクが偉そうな顔が出来なくなるだろ」

ウサ先輩が言う。


「いや、思いっきりそれ個人的な恨みでしょ!」

俺が言った。


「日本の文化の源流は中国だな。そして中国と言えば有名なのは三国志演義だ。そこに桃園の誓いと言うものがある」

ウサ先輩が言う。

「あっ! なんか聞いたことあります」

ミカゲが言う。いや一体何の話なんだ。


「漢王朝が終わりを迎える激変の時代。劉備、関羽、張飛の3人の豪傑たちが桃の花が咲き乱れる桃園の中、誓った。まぁここには4人いるから諸葛亮を加えるか。とにかく、そこでその4人は誓った」


「生まれた日は違えども、死ぬときは同じ日同じ時であることを誓わん! でしたっけ」

ミカゲが言う。


「そうだ。義兄弟の誓いだ。そしてその誓いはまだ生きている。その英雄の思いもな」

ウサ先輩が言う。


「義兄弟ってなんか楽しそう!」

とヒナが言った。


「ではまずボクが劉備な。そして悠斗君、キミが諸葛亮だ」

ウサ先輩が言う。

「え? ウサ先輩が諸葛亮だと思ってましたけど。頭いいんで」

俺は言う。


「いや、ボクはグループのリーダーでありたいんだ。諸葛亮はキミがやってくれたまえ」

とウサ先輩は言う。

「で、ミカゲ。キミは張飛だ。3人の義兄弟の中で一番勇猛果敢な豪傑だ。そしてヒナ。キミが関羽だ」


「え? 関羽ってあのヒゲモジャのおじさん……?」

ヒナがショックを受けているようだった。

「そんなことないよ! 関羽って三国志で一番人気なんだよ! 関帝っていう神様にもなったんだから」

ミカゲが言う。


「なるほど、でもおにぃの諸葛亮ってなんか陰キャっぽくないですか? なんか仲間はずれ感があるんですが……」

とヒナが言った。

ピキッ! とひび割れる俺たちの友情。生まれたばかりの俺たちの友情はいきなり崩壊の危機を迎えていた。


「まぁおにぃが良いっていうならいいけど」

ヒナが言った。うん……あの……


「なんなんすか! もう! じゃあ私が諸葛亮で良いですよ! 諸葛亮で!」

ミカゲがキレだした。


「いや! 諸葛亮を罰ゲームみたいに言うのやめろ! 最後まで活躍した武将だろ!」

俺が言う。


「だっておにぃ!」ヒナが叫んだ。

「ちょっと待って下さい。ウサ先輩にケチつけるんですか」

ミカゲが言う。うわぁ! もう最悪だ。


「いや、キミたち喧嘩はやめたまえ。3人の豪傑なんてどうでもいい。三国志じゃなくても良いんだ。アトス。アラミス。ポルトス。そしてダルタニアンを加えた4人でもいいんだ」

ウサ先輩が言う。


「三銃士ですね。ウサ先輩!」

ミカゲが言う。


「いや、三国志って言い出したのウサ先輩じゃないですか……」

俺が言う。

「まぁとにかくだ。義兄弟の誓いなんだから。誓うときぐらいは仲良くしてもらわないといかん」

とウサ先輩が言う。


「よしキミらは拳を高く掲げよ! 祝杯の代わりだ!」

とウサ先輩が言う。


「えっ? なにするんですか?」


とりあえず、俺らは言うとおりにして拳を掲げて乾杯のようなポーズを取った。


「我ら三人、生まれし日、時は違えども……」

とウサ先輩は言う。いや、結局三国志なのかよ。俺はもうツッコミ疲れたので黙っていた。


「われらはんにん、ふまれひひ、ほきはひはえほも」

ミカゲは言った。


「おい、なんでこのタイミングで腎臓を咥えるんだよ!」

俺は突っ込む。


「みんなは一人の為に、一人はみんなの為に!」

とヒナが言う。


「いや、それ三銃士だからな!!」

俺は突っ込む。


「……同年同月同日に死せん事を願わん。皇天……あっあぅ……続きが……」

ウサ先輩が困ったように言う。


「いや、知らないのかよ! 続き! なんなんだよ!」

と俺は突っ込む。

そしてウサ先輩は

「うあ……あぁ……」


とうろたえながら俺たちを見回したあと、

「オーーーー!!」

っと叫んだ。

ヒナとミカゲも一緒に

「オーーーー!!」

っと叫ぶ。


「最後勢いで乗り切ったね……」 

俺はそう言った。


「ところでチーム名はなんにするんですか?」

ヒナが言う。

「桃園の誓いをしたからな。そりゃチーム名三国志だろう」

ウサ先輩が言う。


「4人なのに三国志ってなんかおかしいだろ! なんで4人なのに3なんだよ!」

俺は突っ込む。


「いやぁでも、センスありますねぇ。4人なのに三国志って」

ミカゲが言う。

「あえて外してくるところがセンスあるよね」

ヒナも同意した。


「そうだろう。ボクのネーミングセンスもなかなかだろう」

とウサ先輩は得意げだ。


「いや、なんか。俺がおかしいみたいな言い方やめてよ。なに。急にみんな。どしたの? 怖っ! なんか怖いんだけど!」

俺が言う。


するとウサ先輩、ミカゲ、ヒナがじっと俺の方を見てきた。


「え? なんでみんな俺の方をじっと見てるの? こわっ!」

俺が言う。


そうやって、夕焼けの公園で俺たち4人は……


「いやこれで、話終わりなのかよ!! なんなんだよこの終わり方は!」

俺は突っ込んだ。




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