第48話 美馬葵という名の異能者

●1つ目 今回の襲撃の報復として関係者を皆殺しにする。最終的には世界を手中に収める。

●2つ目 地球の他の場所に移り名前を変え今まで通りの生活をする。バレるといけないから定期的に移り住む。

●3つ目 異世界へ行き目的を果たす。


3つの中から僕が選んだのは…


「3つの中から選ばないといけないのかな?4つ目の選択肢もあるんじゃない?」

「4つ目?」

「なんだ?まさか襲撃関係者全員に水虫を付与するとかいうんじゃねーだろな。」


「そんな残酷な事しないよ。」

「じゃあどうするんだ?」


「もっと、もっとみんなが平穏に暮らせる案はないのかな?」

「ふん、何甘っちょろい事言ってるんだゆずる。お前自身が殺されかけたっていうのに。」

「無理でしょうね。」

2人は難色を示したが僕には案があった。

とっておきの案がね。


「僕の考えた4つ目の案はこうだ。新開発したエクスプローションノヴァという魔法は建物や無機物には一切作用せずに生き物のみを根こそぎ駆逐するとっておきの新型魔法さ。とりあえず日本列島から下等生物達を排除してから2、3年間異世界でやり過ごし、人体に影響が無い事を確認してから舞い戻っるっていう僕たちが平穏に暮らせる案さ!どうかな?」


「残酷〜〜〜〜〜!全然甘くなかったゆずる。ビター過ぎる。ビビビビビターぐらいの苦さ!」

「ゆずるが鬼に見えるわ!略して鬼ずる!」


「もし失敗したらそのまま異世界に移り住むという案まで盛り込んでいます。」

「サイコパスや…あんたホンマもんのサイコパシストや!」

「優良健康異常者だわ、ゆずる!ゆうゆずる」


「というのが僕のささやかな提案です!」

僕はさわやかな笑顔で

言い切った感を出して二人を見た。


「敵わねーなゆずるにはへへっ」

レイ君は鼻の下を指でこする。


「そうねゆずるの言う通りだわ。」

こころはアゴの下を撫でた。


「よ〜しじゃあみんな行くか!俺達の戦いはこれからだ!」

おおおおおおおおおおと3人が一斉に夕日に向かって走り出した。

まだ日も昇らない深夜だが

僕らは夕日に向かって各々がバラバラの方向に走り出した。




永らくのご愛顧誠にありがとうございました。

大口真神の次回作に期待してください。

















「「「んなわけあるか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」」

3人で一斉に突っ込んだ。


「ゆずるが言い出したのに何一緒に突っ込んでるんだ。」

「だって誰も止めてくれなかったじゃないか。レイ君もへへっとか言ってるし。」

「誰もツッコまないとENDになるのね。」


「ボケばかりだと話が続かないからな。」

「いつも僕がツッコミ役だったかね。たまにはボケたいじゃない?僕だって」

「ボケてもいいのよ。誰しもがボケる権利はあるのよ。」


「茶番はここまでだ。これからどうするかを言うぜ。」

「決めてたんなら僕に聞く事なかったんじゃない?」

「ほら、あれよ。聞くだけ聞くけど何ら影響を及ばさないあれよ。」


「こころさんちょっと何言ってるのか…。」

僕たち3人がいつものようにわいわいやっている会話中に

違和感を感じた。


感覚的なのか目の前に三角が見えた。

綺麗な三角ではなく斬撃のような三角形。


「しまった。」

レイ君が僕の前で初めて悔しそうな顔をするのを見た。


その三角は僕を取り囲んだ瞬間三角錐になりその中に僕は囚われた。

「えっ抜け出せない。助けてレイ君!こころ!」


僕は三角錐の中に囚われた事でパニックになり2人に助けを求めたが、もう2人の姿は見えない。


何が起こったか全く分からなかった。2人と引き離された不安から僕は急に悲しくなってきた。


真っ暗な空間に取り残された状況。

胸が押しつぶされそうになる。

呼吸が苦しい。


「うわああああああああああああああああああ」

僕は叫んだ。

この暗闇を払拭させようと大声で叫んだ。


すると目の前から斬撃が

するどい一筋の光が暗闇を引き裂いた。


スパアアアアアー


切り裂かれた後三角錐から解放された僕は

地面に落とされる。


受け身を取れずにそのまま地面に落ちた僕は

辺りを見渡す暇もなく痛みでうずくまった。


どがっ!


するといつまでも立ってこない僕に苛立ったのか

僕のお尻を蹴り上げる音と共にさらに痛みが…


「うるせーんだよ。さっさと起きろや。」


そこには軍服を着た僕と同じくらいの少女が刀を抜いて僕を睨んでいる。ちょっと釣り目でキツイ顔立ちに見えるが美少女と言っても差し支えないが、タバコを吸っている。


「めっちゃタバコ臭いんで…ちょっと息臭いんで向こう行ってもらえます?」


めちゃめちゃ尻を蹴られた。


「よくこの状況で第1声でそんな事言えるな、お前。しかも言い直してまで。」

「自分不器用なもんで…。」


「さすが“維持”の系譜を持つ異能者。大物だな。」

「ちょっと何言ってるのか…やめて!蹴らないで。」


「今度余計な事言ったら首切り裂くぞ、クソが。」

「はい、すみません。あなたは誰ですか?ここはどこ?レイ君とこころは?そして僕はこれからどう…うわっと。」


軍服少女がいきなり斬りかかってきたので、間一髪避けた。まあ、ものすんごい手加減してくれてたみたいだけど。


「いっぺんに喋るなって言ってるだろう。」

「言ってませんよ。初めて聞きました。」


「うるせええ!細かいことはいいんだよ!」

「カルシウムか足りて無いようですね。はいカルカル。」

僕は素手でポケットからカルカルを鷲掴みして渡した。


「いや、素手はちょっと。不潔だし。」

「…細かいこと気にするんですね。」


「うるせええ、話が進めねえじゃねえかよ。もういい聞けよ。」

「奇遇ですね。僕ももうそろそろ話を進めようとしていたところです。」


「私の名前は美馬葵だ。異世界対策室室長兼特攻隊長だ。」

「特攻隊長ぽいですよね。」


「神崎ゆずる、お前を拘束する。」

「な、なんだってええええええええ」


「……すんごいわざとらしい。」

怪訝な表情で僕をにらみタバコを押し付けようとしてきた葵室長。


やめてください!

いじめです!


つづく

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