第54話 次のステージへ

「ゆずる、今から超尺の説明回になるけどいいか?」

レイ君が僕を通して読者に呼びかけた。


どうしても説明回は長々しいセリフが多くなって読者が読み飛ばしてしまうかもしれないからな。僕は結構説明回を飛ばす派だ(笑)。もし長くなりすぎたら僕が合間合間にギャグを織り込んでいこう!


「レイ君、なるべく短く刻んでいこう!」

「ワカッタアルヨ、スグオワルアルヨ。」


「片言!そしてなぜか謎の中国人風だよ!」

よし、掴みはOKだ。

いこう、レイ君!


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「唐突だがこの世界、地球はステージ1だ。」

「ステージ1とは?」


「創造主の決められた魂のランクの事だ上が何ステージあるかはわからないが…。」

「察するに…地球は一番下だという事だね。」


「そうだ、しかもかなり悪い。」

「悪いと何か不都合があるの?」


「何千年に1回審判の日がくる。その時までに成果がでなければ滅びだ。」

「滅び…。」


「そうだ、今までも幾度もなく救いの手を差し向けていただいていた。いわゆるチャンスを与えられていたが全く効果がない。この地球の本質が疑われている。」

「本質?」


「そうだ、地球人全てが出来損ないなのではないかというね。」

「出来損ないとは?」


「地球という世界は何度も生まれ変わる事により魂を磨き上げる精錬の場でもあるんだ。」

「なんか宗教ぽくなってきたね。」


「そこにお金などの物質的要素は必要ない。精神性のみだ。」

「精神性だなんてあいまいだね。」


「簡単な事さ、相手を思いやるだけでいいんだから。」

「そんな簡単な事すら出来ないのが僕達の現状だって事?」


「そうだ、別にお金や物が悪いわけではない。人間が生きていくために必要な物だしな、しかし固執しすぎてはいけない。」

「ふーん、何だかよくわからないや。」


「そうだな、物質社会の現代ではゆずるのような感覚が正しいと思うぞ。」

「それでどうして年端も行かない子供、赤子の虐殺になるの?」


「生まれながらの悪だからだ。」

「生まれながらの悪?ってどういう意味。」


「この世界は魂の精錬の場でもあると言ったな。つまり罪を何度も繰り返す魂は生まれながらに傷つき濁っている。それを排除して魂の流れから外していくんだ。」

「育つ環境、育てられた環境によって人は変われるんじゃないの?悪の魂を持って生まれても育て方によっては善人に、というか魂を磨かれていくんじゃないの?」


「…その考え方は至極まっとうな考え方だと思うよ。ザ・地球人という倫理観に基づいた君たちの模範的な解答だ。」

「という事は異世界では違うと。」


「勘違いして欲しくないのは異世界は、以前にも話したが全く別物、別次元の世界というわけではないんだ。むしろ地球と近しいし繋がっている。」

「同じ宇宙圏という事かな。」


「長年の知識の積み重ねによる知恵だ。悪しき魂は生まれ変わっても悪しき魂のままだった。精錬するどころか他の魂にまで影響を及ぼしてしまうほどにね。だから事前に魂の流れからはずしていかないといけないんだ。それが例え赤子だろうがね。」

「そんな馬鹿な知恵があるもんか!貴様の作り話だろう!」

ここでミナトが僕とレイ君の話に割り込んできた。


「長年の知識の積み重ねは異世界の話でもあるが、地球でも同じ実験を行っている。はるか昔からね。日本だけでなく色々な国で。簡単に言うとこうだ、悪しき魂を持った人をマークしてその後どういった人生を辿ったのかを全て調べた。どうなったと思う?」

「もちろん悪い人もいただろうけど、良い人もいたんじゃないかな。60%悪い人で40%が良い人になった。」

僕は希望も含めてそう答えた。


「答えは100%だ。全員悪人のまま生涯を終えている。中には劣悪な環境のものもいたし、善良な親に育てられた子供ももちろんたくさんいたが、結果は全て悪人。魂を磨く事すらしずに逆に善良な魂を傷つけまくった。」

「たまたまそういう結果の時もあるだろう!」

ミナトが口を出す。


「あらゆる時代、国で俺は試してみた。だが結果はすべて100%。地球はもしかして違うかもしれないと思って進めてみたがこの結果は異世界も地球も変わらなかった。ちなみにその実験は今も続けているぞ。赤子の頃から俺がマークして政府にも知らせている。その後どうなったかは政府の人間も知っているはずだ。」

「そんなばかな…。」

どうやらミナトにはこの事は知らされていなかったようでショックを受けている。


「だから善良な市民、幼児や赤子を殺しているというお前達の意見もある意味正しいのだろうが、オレから言わせればオレ達がお前達地球人の魂を救ってやっているんだという感じだな。救ってやっているというのもおこがましいがな。」

「何でレイ君は何の得もないのに地球を救ってくれているの?何で地球の僕たちのために?」


「得がない?得しかないだろう。魂を救って地球を次のステージに上げる事が全てにおいて優先される使命なのだから。」

「使命?それは…」


「ゆずる、その使命にはお前も含まれているんだぞ。」

「僕が?ああ、僕のような平凡人々。地球人全般の人という意味ね。」


「いや、違う。ゆずるも俺達と共に地球人を次のステージに引き上げる使命をもって選ばれた。」

「僕が?レイ君と出会う前は何の価値もない僕なんかが…」

正直いきなり言われても困惑しかない僕にレイ君がさらにぶっこんできた。


「ゆずる、ユリウス・セイ・ヴィシュそれがお前の本当の名だ。」

「なっなんだって〜〜〜〜〜〜。」

…………………………………………

…………………………………………


って一応驚いてみたけど全然理解できてなかった。

なんか荘厳すぎて、スケールがデカ過ぎて今回の展開についていけないのに僕の本当の名前だって言われても困惑しかないよ。ずっと平凡な日本人だったのに、いきなり異世界人風の名前言われても…


ちょっと何言われてるのかわかんないんで次回に続いていいですか?

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