第46話 僕はもうすでに全裸だった

僕は今夢の中にいる…と思う。


寝ている時にたまに気づくやつだ。

あっこれ夢だなって。


浮遊感を伴うまどろみの感覚。

これが夢でなくなんだろう。

現実だったら逆に怖い。


あと、僕が全身裸だから現実だったら怖い。


なんか局部を見ようとすると

泡がゴポゴポして丁度見えないシステムのようだ。


放送倫理委員会がいい仕事してる。

よくアニメで見る温泉やお風呂で湯気が隠すやつや。


僕も360度いろいろな角度で局部を見ようとしているが

ちゃんと泡で見えない。


たまにフェイントをかけたりもしているが

対策はバッチリのようだ。ぐぬぬぬ。


僕はムキになって倫理委員会と戦っていたが

10分ぐらい格闘した末に


“いったい僕は誰と戦っているのだ。自分の局部を見たいわけでもないし”

という真理に気づき

いったいこの夢はなんなんだろうという

疑問に方向転換した。


そう考え出した途端に遥か上空が明るく瞬いている事に気づき

なんとかたどり着こうと平泳ぎで漕ぎ出す。


水中かどうかわからないのにちょっとずつ上へと

進みだしたので、得意のクロールに切り替えると

ぐんぐんと進みだした。


途中からは吸い上げられるような感覚で上へ上へと昇る。

気持ちいい。

何かバキュームカーで吸い上げられる浄化槽の●●のように…


自分で想像しておいて

ちょっと何言ってるか分かんないんですけど。

もっと他に例えようが有っただろうに。


などと考えているうちに光の先に浮上したようだ。

ボコン

という感じで上に到達した。


まるでお風呂でオナラをした気泡が浮上した時のような音を立てて…

自分で言っておいて何ですが

もっと他に例えようが有っただろうに。


そんな僕を大きな光があっと言う間に包み込み

僕の見ていた夢はそこで途絶えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おっ、やっと起きたかゆずる。」

「本当にお寝坊助さんね。」


レイ君とこころが

ベットで寝ているであろう僕を上から覗き込んでいた。


「おはようって…ここどこ?」

起き上がって周りを見渡すと

いつもの僕の部屋ではなかった。


いつもの寝室よりも広い10畳くらいの部屋の真ん中にポツンと

僕が寝ているベッドが1つ置いてあった。


「まあ、とりあえず3人でご飯でも食べよう。こころ、ゆずるは起きたばっかりだから軽めの物を。」

「わかった。5辛のカレーライスでいいわよね、ゆずる」

「重め!(粗品風)しかも激辛!僕は辛いの強くないって知ってての狼藉!」


「お、安定のツッコミだなゆずる。もう心配ないようだな。」

「わかったわ、甘口カレーでいいわね?」

「いや、寝起きにカレーはきついんでサラダだけでお願いします。」


そう言い合いながテーブルで各々の料理が揃うのを待つ。

「「「いただきます」」」


「もぐもぐところでレイ君、心配ないなってどゆこと?」

「もぐもぐもぐああ、ゆずるはもぐ5もぐもぐ日間もぐ寝てたもぐ。」

「ちょっと、食べながら言ってるからゆずるに伝わっていないわよ。いい、ゆずるあなたもぐもぐ5もぐもぐ」


「2人揃ってボケるんか〜〜い」

僕のツッコミが炸裂した後、

レイ君が咀嚼した食べ物を飲み込んだ後に話してくれた


「ゆずるは5日間も寝たままだったんだ。」

「そうよ、心配したわ。」


「ええええええ何で?毒?毒盛られたの?」

「逆になぜ最初に毒を警戒するのだ。」

「よっぽど普段から後ろめたい事があるのね」


「無いよ、寝たきり=毒だと思っただけだよ。」

「ある意味おしいな。ビルが爆破されたんだ。」

「どっか〜〜〜んてね。派手だったわよ。」


「僕全く気づかなかったけど。」

「震源地がゆずるのベットの真下の階だったからな。」

「気づく前にあの世よ。」


「なんで僕生きているの?」

「蘇生?かな?」


「何で自信なさげなのレイ君?レイ君が蘇生してくれたんでしょ?」

「ゆずるが自力で治したからだ。」


「は?僕にそんな能力ないでしょ、レイ君じゃあるまいし。」

「ま、それは追い追い…な。」

「レイさん歯切れが悪いですね。もうここはズバって言っちゃえばいいのよ。」


「バカこころ、今こんな所で言ってどうするんだ!もっと劇的な展開で言った方が面白いだろう。」

「うーんそうかな。とっとと引きで言って次回詳しくっていう展開でいいんじゃない。」


「もっと勿体ぶって勿体ぶって言わないってパターンが面白くない?くくく」

「それは一番の禁じ手ですよ。反感反感ハマンカーンぐらいの悪手です。」


二人が僕をそっちのけで盛り上がっている。

僕はもう話の中心にも係わらずほったからかしだ。


僕が目の前にいるのに2人だけにしかわからない会話を聞かされた人の心境やいかに。

まさにこれが反感反感ハマンカーンだろう。


ぷんぷん!


……最低のオチだな。

今時ぷんぷんなんて言ってる人も、文字とかでも見た事ないぞ。

一時期さとう珠緒さんが商標権を持っていたので

頻繁に使っていたが。


だめだ!こんな気の引き方ではダメだ!

やっぱりここはみんな大好き下ネタしかない!

下ネタでレイ君とこころの心を鷲掴みにしなくては。


そう思って僕は一大決心をして

ズボンを下ろすという荒技を決行することにした。

もうすでに一度使ったオチだか

2回ぐらいならセーフだろう。


何回もこすったネタを使うと読者も飽きてしまうからな。

そう思い僕は二人が会話している前に立った。

椅子から立ち上がった。


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僕はもうすでに全裸だった。








起きた時夢うつつで全く気づかなかった。

それを2人はなぜ全く指摘してくれなかったのか。

この後の回でじっくり、ねっとり、ネチネチ、ぬちゃあああ

と聞いてみる事にしよう。

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