第33話 ポイント制度
「よし、じゃあ今日もダンジョンに行ってきます。」
「お、ゆずるがいつにもなくやる気になってるなんて珍しいな。」
「最近なんか調子いいんだよね。こうサッと振ってグシャって感じでズワワワワって気持ち?」
「ちょっと何言ってるかよくわかんないんだけど。」
「なぜサンドさん風に言った?」
「マネしたつもりはないけど、ゆずるの説明は擬音ばかりで…。」
「ニュアンスだけでも伝わってくれればOK。とにかく調子はいいんだよね。」
「そうか、じゃあ今日からオレのチュートリアルダンジョンは終了だ。これからは本当のダンジョンに潜ってもらう。といってもほとんど今までと変わらない。」
「そうなんだ。魔物がリアルでグロい造形になるのかなって思ってた。」
「今までのチュートリアルダンジョンはオレが魔物の強さを微調整していたから。本当のダンジョンはそれより少し強いぐらいだ。あと、イレギュラー的に強い個体が混ざってるとか3体、4体とかの団体で襲われる事はあるかもな。」
「ふーん、確かに初っ端から挑んでいたら危なかったかも。今はレベルも上がって体は動けるようになってるから大丈夫だと思うけど。これもレイ君が気を使ってくれたおかげだね、ありがとう。」
「ほ、ほめたって何にも出ないんだからね。はい、これ鋼の剣。ショートソードより重いけど殺傷力はあがってるから今のゆずるなら使いこなせるだろうと思って昨日から夜なべで作って上げたんだからね!」
「なぜツンデレ風?あと、夜なべはしてないだろ、鋼の剣鋳造だし。鋳型(いがた)に流しただけの量産品だろこれ。」
「正解!80ポイント進呈!」
「いえ〜〜い80ポイントゲットだぜ!ところで何のポイント?」
「知らないでそのはしゃぎ様…すがすがしいわ、ゆずる。略してすがずる!」
「略すと良く無い意味に!」
「ポイントを集めると金のエンゼルなど豪華景品と交換できます。」
「金のエンゼルはもういらないけど、豪華景品が気になるな。」
「ゆずるは欲しがりだな。先っちょだけだぞ!」
「言いよう!聞き方によっては卑猥!」
ガラッ!!
「不潔よ!二人とも不潔!略してふけずる!」
「いや、こころさん急に登場してその言葉!なぜ略して僕だけ不潔なの?」
「ゆずるさんがウケだと思いまして…てへっ」
「そうだぞ、絶対オレはウケは嫌だぞ!タチじゃなきゃ絶対嫌だ!」
「二人とも偏見がすごい!レイ君そこは二人ともノンケだって否定しないと信じちゃうよその娘!」
「すみません、取り乱しました。」
ガラガラガラピシャン。
こころさんは扉を閉めて出て行った。
あんた下ネタに反応して来ただけかい!
しかも“ふけずる”言いたいだけだったし。
あと、どうでもいいけど扉が学校の教室風なのはなぜ?
放課後?この空気は放課後コントなの?
「ちなみに豪華商品はバラエティコーヒーセットだとか、洗剤詰め合わせ、東京ラスクコレクションとかいっぱいあるぞ。」
「お歳暮の詰め合わせセット!(粗品風)お歳暮でもらった商品を処分したいだけじゃないか!」
「しかし、もらったら嬉しい商品ばかり取り揃えたんだぞ!」
「確かにそのままもらえたらうれしいけれどもよ。ポイントは?ポイントの必要性あるの?」
「うん、10ポイントから1万ポイントまで。果てはマイナス1万ポイントまで幅広く活用できるぞ!」
「レイ君の気分次第!(粗品風)マイナスポイントまであったら絶対気分次第で減っていくよね。今まで散々戦って接戦だったのに、最後に1万ポイント進呈!みたいなお笑いの鉄板!」
「ポイントポイントうるさいんだよ、ゆずるは!そんなに文句ばっかり言うゆずるマイナス1000ポイント!」
「はいでた〜〜〜マイナスポイント。現在マイナス920ポイントゲット!って嬉しく無いわ!」
「わかったわかった、十分ツッコンでもらったから、もうダンジョン行っていいよ。」
「レイ君がポイント制度言い出したから脱線したんだろう。行くけれども何か腹たつわ〜。」
ガラッ!!
「話は聞かせてもらったわ、ゆずる。略してずるむけ。」
「全然略してない!ずるむけって単語言いたいだけやん!」
「そんなことはどうでもいいの、ずるむけ。」
「もはや僕の名前さえ関係ないと言わんばかりのずるむけ押し。止めてよ!絶対僕のあだ名にしないでよ。」
「話は聞かせてもらったわ、私もダンジョンに付いて行くわ。」
「え、こころも行くの?何で?」
「私も強くなりたい。守られてばかりの育ちのいい、器量のいいか弱い繊細な美人なだけではいられないのよ。」
「繊細な美人さんはずるむけって言わないと思うよ。」
「とにかく行きたいの!いいでしょずる…ゆずる。」
「今ずるむけって言おうとしたでしょ。ダメダメ!ダンジョンに遊びに行くわけじゃ無いんだよ。僕だって何ヶ月もチュートリアルダンジョンで鍛えに鍛えて、マッスルゆずる、ずるむけゆずるって言われてやっとどうにか戦える様になったんだ。しかも今回から本格的な異世界ダンジョンだし。そんなところにこころを連れて行けないよ!」
「ずるむけゆずるは良しとしてマッスルゆずるなんて自称だろう。まあそう言うなよゆずる。オレはこころと一緒に行くのは賛成だぜ。」
「ほら!レイさんが言ってるんだからいいでしょずる…ゆずる。」
「いいかげんずるむけを忘れろ。だけどレイ君、自分の事でいっぱいいっぱいなのに…こころが来たら僕の足手まといになるよ。」
「あーー言ったわね、ゆずるなんかに負けるわけないでしょう私が!」
「まあまあ二人とも。ゆずるも1回こころと行ってみればいいじゃん。駄目ならすぐに帰ってくればいいんだし。なっ」
「まぁレイ君がそこまで、土下座してまで頼むんだったらしょうがないけど。今日だけだからなこころ。頼むから僕の足だけはひっぱるなよ!」
「いや、オレ土下座まではしてないだろずるむけ。」
「足どころか髪の毛ひっぱってずるむけゆずるにしてやるわよ!略してずるずる!」
「止めて!髪の毛だけはずるむけにしないで!はーじゃあそろそろ行こうか。じゃあまた後でねレイ君。」
僕とこころはお互いに言い合いながらフェイを呼んで
二入でダンジョンへ向かって行った。
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