第32話 一緒に住もうよ
「で、何でここに?」
「あの後色々あって大変だったのよ。まず叔父さんと叔母さんに、あっ私の育ての親の事ね。今まで私の考えてた事ぶちまけて気持ちの整理ができたからこれからは前向きに生きます的な事を話したの。そうしたら2人共わんわん泣き出して今まで私に対して言うに言えなかったうっぷんが出るわ出るわ、まあ主に私の事を大切に想ってくれてるからこそのうっぷんだったんだけれどもね。それを聞いた私もわおんわおんと号泣に号泣を重ねて豪速球だったわけ。」
「いや、ちょと最後何言ってるかわかんないですけど…」
「その日は泣き疲れちゃって3人で一緒の部屋で寝たわ。今年で18歳にもなるのに朝起きたらちょっと気恥ずかしくはあったわね。」
「で、何でここに?」
「それからは毎日人が変わったようだねってみんなが。当たり前よね、それまで暗い顔で人と関わりを持とうとしてなかった私が急に社交的に明るくなったもんだからそりゃあ驚くわよね。学校でも友達が出来たし、それに告白までされたのよ。もちろん断ったけど。」
「で、何でここにいんの?ねえ?聞いてる?」
「育ての親、ううんもうすでに私の親も同然ね。この間お父さん、お母さんって呼んだらまた2人とも号泣して、私もまたもらい泣きしちゃってまたしてもわおんわおんと号泣に号泣を重ねて高速カーブ投げちゃったわけ。」
「わおんわおんも気になるけど、それより本当に投げたの?比喩じゃなくて?」
「そりゃあ投げるわよ、全力で。でも急速は130kmしかでなかったわよ。」
「女子の中では豪速球!本格左腕!」
「で、家族で話し合ってなんやかんやで進学はやめてレイさんの所で働く事にしたの。永久就職よ」
「いや、結婚ではないから永久ではない。」
「という訳で先輩、これからよろしくね。」
「経緯はわかったけど、だから何でここに?」
「何でってこれから一緒に住む事になったからじゃない。」
「だからと言って僕の部屋に住む事ないじゃないかな。」
「しょうがないじゃない部屋が1つしか無いっていうんだもん。」
「実家から通えばいいんじゃい?近いんだから。」
「だめだめ!社会人になるんだからいつまでも甘えてられないわ!」
「今まで親不孝だった分、取り返すために親に甘えてあげた方がいいんじゃない?せっかく立ち直って打ち解けたのに家を出て行ったら悲しまないか?後、僕の部屋で一緒に住まなくてもいいんじゃないの?」
こころは美人だ。よく見たら美人だ。
表情が暗く猫背だった前と比較すると
表情も明るくなって性格も前向きに、
背筋もピンと伸びているとまるで別人だ。
告白されても不思議じゃないな。
自信に満ち溢れているもんな。
スタイルも…スラリとしている。
そうそう漫画や小説のように巨乳ばかりじゃない。
むしろアレは巨乳率が多すぎて引くレベルだ。
「その点こころは丁度いい。ムラムラと僕の情欲を掻き立てる。はぁはぁもう辛抱たまらん。ゆずるは本能に従いこころを押し倒し…」
「途中から勝手に僕の内情を足さないで!そんな事全く考えてないからね。」
「ゆずるは紳士だから私になんか欲情しないでしょう。だからいいでしょ一緒に住んでも。」
「欲情しないよ!ゲイだから!むしろハードゲイだから!」
僕は思いっきりカーブを投げた。
「そのネタレイさんが前回やったからもういいわ。」
「今までノリノリだったのに急に冷たい!」
捨て身のギャグを放ったがあっさり打たれた。
内安打だった。
「それじゃあ部屋を分けましょう。」
「一緒に住む前提なの?しかもなぜ僕の部屋を分けるの?」
「確かにゆずるの部屋は1LDKしか無いもんね。私が1LDもらってあげるわ。」
「僕はK!キッチンしかないK!玄関開けたらキチンだけって僕どこで寝るんだよ!」
「ゆずるはわがままね。仏間をあげるわ。」
「仏間!掛け軸とか掛ける縦長のスペース!立って寝るの?」
「はーこれで本当に最後よ。天袋もあげるわよ。」
「押入れの上の部分!ほっそおおおおい所!あそこで寝たら気が狂っちゃうよ。」
「ゆずるそんなに文句ばっかり言うと社会に出たら通用しないよ。」
「僕の方が社会人として先輩だよ!君まだ働いた事ないでしょ!」
ぜーぜーあかん、ツッコミっぱなしで体力がもたん。
ものすんごいボケ倒すやんこの子。
「わかったわそこまでゆずるが嫌がるならしょうがない。レイさんに言ってもう1部屋作ってもらうわ。」
「えっそんな事できるの?」
「できてるわよ。本当はもう作ってもらってたもん。ゆずるのツッコミがおもしろくてつい長々とボケてしまったわ。ちなみに3LDK+バルコニー付きよ。」
「僕の部屋より広い!家族4人でも住める広さ!」
「私には広すぎるから結局ゆずると一緒の1LDKにし直してもらったけどね。」
「適応能力すごすぎる謎システム!」
「ちなみに私のお給料はこのくらいよ。」
「僕より多い!住居のくだりでお腹いっぱいなのに突っ込まずにはいられない!」
「色々入り用だからって多めにしてくれたの。決してゆずるの能力が私より劣っているとかでの差では無いらしいわ。たぶん…」
「劣ってるやん!僕がこころより明らかに劣ってると思っているであろう給料の額の差やん!」
「もう、給料でも文句ばかり言って!しょうがないわね、今回だけ特別よ。」
はい、と言ってこころが僕に渡してきた紙切れをみると…
「銀のエンゼルマーク!5枚も集めれるか!」
僕は銀のエンゼルマークを床に叩きつけた。
「ちなみに銀のエンゼルマークの確率は3〜5%らしいわよ。」
僕は床に叩きつけた銀のエンゼルマークを拾い直した。
100個買えば3〜5枚でる確率だ。残り4枚でおもちゃの缶詰がもらえる。
100×1個80円として=8000円でおもちゃの缶詰が…
「いええええええい銀のエンゼルマークゲットだぜ!」
僕は銀のエンゼルマークを掲げて喜んだ。
「……ゆずるのそういうところ好きよ。」
こころに呆れられた。
ちなみにそういうところってどうゆうところ?
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