第8話 「知ってた。」

「ゆずる、オレは地球人ではないんだ。」

「でしょうね。」

僕はあっさりと返した。


「…………………………………」

「…………………………………」

お互い見つめあう。


「ゆずる、オレはこの世界の住人ではないんだ。」

「知ってた。」

レイ君は2回も重大発表みたいに厳かな雰囲気でためにためて言ったけど、

僕が全然反応しなかったので逆にものすんごいショックを受けた顔をしてる。


「なんで驚かないんだ!なっなんだって〜とか、僕を今まで騙してたのか〜〜〜とかないの?」

「だってレイ君ちょくちょく匂わせてたし、そうじゃないかな〜っとは思ってた。」


レイ君はソファーにもたれかかってうなだれた。


「オレはこの世界とは違う世界から来た異世界人だ。溢れ出る知性、どことなくアンニュイな横顔、長く伸ばした小指の爪。」

「いや、最後のはくっそダサイで。」


レイ君はソファーにもたれかかってうなだれた。


「まあ、今日本では異世界ものが流行ってるからそんなに驚きはないか。あれの逆バージョンだしな。」

「僕としてはレイ君が高校生で異世界にクラスメイトと共に召喚されたけど、仲間はずれにされて追い出されながらも特別なチートに目覚め、『何で俺が』とか言いながら結局魔王を倒して能力そのまま日本に戻ってきて無双するってパターンじゃないかと思って、冒険活劇を聞けると思ってワクワクしてたんだけど。」


「いや、おれは純粋なアルメニア人だからそんな壮絶なバックストーリーはない。」


僕はソファーにもたれかかってうなだれた。


「いやいやいや、何勝手にオレに期待して、勝手に失望してるの?むしろオレが被害者なんだけれど?」

「んで、その某アルメリア人のレイさんが何しに日本…YOUは何しに日本へ?」


「急にぶっこんできた。いい事思いついた風に言い直して、ドヤ顔で急にぶっこんできたよコイツ。腹たつわ~」

「YOUは何しに日本へ?」

めげずにドヤ顔でもう一度聞いてやった。


「目的は話せない。オレがこの地球でわざわざ転移して来てまで活動する理由だからな。しかし、ゆずる達日本人、地球人にとって害を成す事ではないと断言できる。今はここまでしか話せない。目的を話すのはオレが死にそうになって息も絶え絶え中に長々とセリフ風に語る時か、この連載が終了間近になった時にあわててまとめだした時だけだ。」


レイ君は真面目な顔をして説明してくれた。

最後の方は真面目な話が台無しだ。


「じゃあ、フェイって呼んでたのは?誰かいるの?」

「ああ、フェイていうのは異世界の妖精さ。あちらでもなかなか希少な存在だが、オレとは縁があってな。しかし地球では具現化する事はできないが、この世界に関与することができるから色々と手伝ってもらってはいる。謎システムの半分は妖精で出来ている。」

「…そんなバファ●ンの半分は優しさでみたいな言われ方しても…本当に異世界人?」


「フェイは妖精の中でも、なかなかの美人さんなんだぜ!今見せてやるよ、ほら」

“キュピーーーーッ”

壁に映し出された姿は…

よく漫画なんかで表現される、スライムのような球体であった。目鼻口などはなく、ピンク色をしたツヤツヤの光沢を放つ球体がはずんでいる。


「な、美人だろう?このピンクの光沢がたまんないんだよな〜」

“キュピピ〜〜”


僕としてはミ・フェラリオ的な、バイストン・ウェル的なのを想像していたから正直がっかりしたが、そんな事をおくびにも出さずにレイ君に一言アドバイスを。


「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」

しっかりお前の胸に刻め。

お前の為にあるような言葉だ。


==================


「6階は異世界と繋がっている。」

「やっぱりそうだったんだ。何か神聖なというか神々しい感じはしてた。」


「あの白い部屋の前にドアが4つあっただろう?あれがすべて異世界に繋がっている扉だ。」

「じゃあ僕があの扉を開けたら異世界に行けるの?」


「いや、もちろんオレの許可がない限り勝手には入れない。オレの管理下に置かれているからな。だから6階にもオレの許可がないと入る事ができない。」


「レイ君の居た異世界ってどんなところ?」

「異世界転移ものでよくある、中世ヨーロッパのような感じといえばわかりやすいかな。ん〜科学はこちらの世界の方が発展しているが、異世界は魔法が発達してこちらとは違うベクトルで発達してといえるな。」


「違うベクトル?」

「ああ、なんか言葉で説明しようとすると難しいんだが、わざと近代化してないというか、何でも魔法でまかなう事ができるから近代化する必要がない。古き良き時代のまま後世まで残すべしという感じかな。」


「ふ〜んそれは…どちらが良いっていう話でもないんだろうね。」

「ああ、もちろんどちらも良し悪しはある。一概に比べる事は出来ないがオレはこの地球も好きだぜ。」

レイ君はお世辞じゃなく本当に思ってくれているようで別に僕が地球人代表でもないのに嬉しく思う。


「人として未成熟なクソ野郎がはびこるこの愉快な世界がな。」

僕地球人代表を返せ!


「そんなにクソ野郎いる?」

「ああ、嫌になるほどたくさんな。おかげでオレの仕事がはかどるはかどる。」


「レイ君のために地球がお役に立てて相棒として嬉しく思うよ。」

僕は大げさなジェスチャーで皮肉っぽく言い返して笑いあった。


まだまだ謎な部分が多いけれども、レイ君が異世界人だと告白をしてくれ、

素直に嬉しく思った。

これからも相棒としてやっていけそうな気がした。

僕はもっともっとレイ君の事が知りたいと思ったんだ。











性的な意味で(笑)



※何度もオチ的なギャグでを使うと本当にアブノーマルと誤解されてしまいますが、ゆずるは本当にノーマルです。



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