概要
廃線になった路線の線路上を歩いていた時に出会ったのは、自らをありすと名乗る少し変わった麦わら帽子の少女だった。
変わっていたのは彼女だけでなく、ありすの飼い猫のミーシャは唐突に皮肉めいた台詞を話し始める。
猫が喋るというあり得ないはずの事実に謙人は少し混乱していたが、ありすはそんな謙人をよそに、ずっと出来ていなかった自分の村のお祭り「春渡し」に参加してほしいと願う。
謙人は混乱しつつもそれを受け入れて、数日間だけ村に滞在する約束をして、訪れた村の中でありすの友人の女の子たちも含めて交流を深めていく。
だけどその中で皆はそろって「最後の夏だから」と気になる事を告げていた。
どうして最後の夏なのかは、誰も答えない中、「春渡し」は始まっ
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- ★★★ Excellent!!!魔女を自称する子と人語をしゃべる黒猫に招かれて……って始まり方のお話
タイトルにあるように、この物語は女の子と黒猫にとある儀式を手伝ってほしいといった要件で村に招かれることから始まります。
女の子との出会いは、主人公君が、目的も行く当てもない旅の途中。ずっと前に廃線になった線路をフラフラとしていたところで出会ったという導入でした。
とある苗字の2人のペアで行うちょっと変わった条件の儀式なのもあって、主人公君が招かれた村ではどちらかと言えば歓迎ムード、
というよりも、村のみんなが顔見知りといった雰囲気のある村で、村の有名な女の子がどこからか彼氏を連れてきたという噂でちょっとしたイジリとか、からかいとかがあって、穏やかな村での様子が描かれます。
仲良くなっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!かわいらしい。どきどき。悲しみ。そして、優しい
11万字。
それが軽く読める分量かそうでないか、人によって意見が分かれるところでしょうが。
私は、この作品は、軽く読めました。読み切らせる魅力がありました。
読み切って、本1冊分を読み切ったという疲労感はまったく感じず、しかし確かにひとつの物語を読み切った充足感がありました。
物語について。
まずは、かわいい。メインヒロインのありすちゃんも、その他の女性陣も。
みんなそれぞれにきゅんとくるかわいさがあって、その中できちんとありすちゃんがメインヒロインとして魅力的で、その魅力にぐいぐい引っ張られます。
それから過去の謎に引っ張られ、途中あるちょっとイケナイ雰囲気は、本当にどきどきして。
悲し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!春と夏の間に起きた、不思議で愛おしい出来事
平穏とワクワクが同居する田舎の空気、可愛らしいキャラクターたち、散りばめられた意味深な謎が紡ぎ出す、温かくも切ないストーリー。万人受けの作品だと思います。
主人公の謙人は、廃線となった線路を辿っていくだけの旅をしている途中、麦わら帽子に眼鏡をかけた三編みの少女、有子と出会う。魔法が使えるという彼女は、喋る奇妙な黒猫を引き連れていた。そんな不思議な少女と猫、一人と一匹に出会った謙人は、とある村で行われる「春渡り」なる祭りに参加することとなる。
可愛らしいキャラたちの、ほのぼのとした掛け合いと、懐かしい田舎の空気が織り成す空気に浸りながら、しかし上手く仄めかされる謎をどんどん追ってしまいます…続きを読む - ★★★ Excellent!!!彼女が麦わら帽子を脱ぐとき、二人の本当の旅が始まる。
物語は、主人公である謙人(けんと)が、あてのない旅をしている場面から始まります。
彼が線路を歩いているとき出会ったのは、麦わら帽子を被った少女、有子(ゆうこ)と、どういうわけか人間の言葉を話す黒猫、ミーシャでした。
有子は謙人に対して、「私の村に来ませんか?」と告げるのですが……?
◆
本作の魅力は、「ほのぼのとした人間関係」、「どこかノスタルジックな雰囲気漂う世界観」など様々あるのですが、ゆったりしたヒューマンドラマだと思っていると、たびたび入り込んでくる「異物 (謎)」に、はっとさせられます。
・なぜ、ミーシャは人間の言葉を話すのか。
・なぜ、有子は「ありす」という呼ばれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!春と夏の境目で少女がついた優しく切ない嘘の物語
当てのない旅をしている謙人は、ありすと名乗る麦わら帽子の少女と出会い、「春渡し」というお祭りに参加するよう請われる。目的のない旅をしている謙人は、その願いを受け入れるのだが、その時すでに不思議な世界に足を踏み入れていたのかもしれない。
不思議なことはいくつかあるが、もっとも不思議で印象的なのは、喋る黒猫ミーシャの存在だ。物語の要所要所で登場し、印象的な台詞を残す。
ミーシャを筆頭に個性的な村人たちと心を通わせる中で、謙人は自分にかけられた願いにも似た期待のようなものを感じていく。
夏の寒村が舞台ということでノスタルジーを感じずにはいられない。それだけでなく、時にコミカル、時にミステリアス…続きを読む - ★★★ Excellent!!!遅い春が来て、動き始めた季節は何を見せてくれるのだろう
暑い夏の空の下、廃線となった線路の上を一人旅する少年、謙人(けんと)。あてもない旅。目的を探すのが目的の旅。
そんな彼が出会う、自身を魔女だと、ありすだと名乗る少女、有子と言葉を喋る黒猫、ミーシャ。
彼女の願いで、村の祭り『春渡し』に参加することになる……
底抜けに明るくちょっぴり天然な有子に、基本冷静に答える謙人、皮肉屋だけど優しい黒猫ミーシャが繰り広げる会話がテンポよく面白いのですが、ここに個性豊かな村人や有子の両親が加わるとその面白さは加速します。
なのにどこか幻想的で、不思議な空気を感じさせられます。読み進めていくと、明るく楽しいからこそ、時折感じる小さな違和感、疑問が頭の隅に…続きを読む