繰り返されるさよならの先に ――三十分間の追走曲(カノン)――

作者 香澄 翔

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★★★ Excellent!!!

 妖精フェルとの出会いにより、時間を巻き戻す能力を使えるようになった主人公、隆史(たかし)。
 もっともそれは、彼が使える能力というよりも、フェルが叶えてくれる「願い」のようなものなのですが。
 ラブコメ調の、ほんわかしか始まりを見せる本作ですが、そこはいつもの筆者の持ち味。中盤以降、事態は急展開します。
 恋する相手、穂花(ほのか)が、自動車事故に遭ってしまうのです。
 当然事故をなかったことにするため、時間を戻す隆史ですが、事態はまったく好転しないのでした。

 時間を戻すことに、もし制約があるのなら。
 制約が大きくなる、条件があるとしたら。
 どんどん事態が悪化していく中で、隆史が選んだ選択とは?

 ここから先は語りません。繰り返されるさよならの先に待っている感動の結末は、ぜひあなたの目で見届けてください。

★★★ Excellent!!!

 レビュータイトルは、某魔法少女のキャッチコピーの一部を少し変えたものになります。
 この物語はいわゆる、タイムリープもの。それも自身の意志でお願いして行使できるもの。最適解を求める姿に相通ずるものがありましたので、この言葉が思い浮かびました。

 あなたは時間が戻せるとしたら何に使いますか?主人公の野上隆史(のがみたかし)ように初めは、から揚げとフランクフルトのどっちが美味しいか食べ比べしたりするかもしれません。小さな選択を悩まずにどちらも選んでみて、人生をちょっぴり豊かにするなんてのもありだとおもいます。
 だけどあるとき、あなたの力に誰かの命が掛かってしまったらどうしますか? そんな選択肢を迫られるなか、何度も繰り返される時間の中で最適解を求め続ける隆史の苦悩と、抗う姿には心を打たれると思います。

 楽しい日常からの、絶望への急展開、そして何度も繰り返されるさよならの先に待っているものは……。

 人の持つ優しくも強い願いに触れることができる物語。是非本編を読んで、この物語の結末を確かめて頂きたいです。