緑淵遺跡8
「まさかあんなことやってのけるなんて、馬鹿だろお前」
んなっ?!バカってなんだバカって!
バカって言う方がバカなんだから、オオバネがバカなんだーい!
「まぁまぁオオバネ、それだけあの道具が、凄かったって事さ」
……?なんか突っかかる言い方だな……
「さて、それで目的の層にはやって来れたし、今からその最奥へと向かう訳だけど……」
「クルラァァァァァ!!」
うおっと危なっ!
なんだあのマモノ、いきなり飛んできたと思ったらうっすい鎌で攻撃してきたぞ。ていうか、あの体の横にある幾つものヒラヒラで空飛んでるのか?
どういう原理だ。
「この層は緑淵遺跡の上の層とは違い、攻撃的なマモノが割と住んでいる。報酬として中層までの道の案内はしてあげるが、長耳くん、自分の身は自分で守っておくれよ?」
それくらい言われなくてもっ!
「クグリャ!」
「ふぅ」
最初こそびっくりしたけれど、こっちに向き直る時に射杭糸機の杭を刺して引きずり下ろせばこっちのもんだね。
そして────
「へぇ、長耳くんの武器はその片刃剣なのかい?珍しいのを持っているねぇ」
トドメを刺すのに使った鍛冶屋さんに「個人が初めて行動を共にするチームで無闇に主軸で使う武器を見せるもんじゃない」って言われて作って貰ったこの武器。
片刃剣こと僕が居た故郷の見回り隊長がカタナって呼んでた武器は、あの主級マモノの脚を削って作って貰ったなかなかに切れる逸品なのだ。
ただし耐久性に難があり、打ち合わせたりするとすぐ刃こぼれしてしまうのが弱点である。
言われてみればだけどあんな強力な魔物を使って戦ってるの見られたら、ここだと殺してでも奪い取るされかねないからね。
それがあるからおチビも隠してるわけだし。
「おぉ!あのトビキリをあっさり倒すとは!君もなかなかにやるではないかだね!っと、話してる暇は無さそうだね」
「ん、一匹いれば百匹」
それってどういう……ってえぇぇぇえ?!
さっきの奴めっちゃ来てる!群れだったのか!
「さて!それじゃあやろうか!博士!」
「任せるのだね!響き鳴らせ、震える音域!」
え?!あれってもしかして魔ぶっ────
キィィィィィィィイイイン!
す、凄い、トビキリがボトボト落ちてる!で、でもっ、みみっ、耳がぁぁぁあ……!ぬおっ!?
「ちっ、耳がいいなら対策しておけ。まだ来るぞ」
オオバネが、助けてくれた……?それに耳栓まで……って────
「それ!もう一度ー────」
やばい!とりあえずさっき貰った耳栓を!
「だねっ!」
キィィィィィィィィイイイイイン!
「……あれ?うるさくない?」
でも音は聞こえてるし、なんだこの便利採古物。
「当然だ、役に立たないものをわざわざ渡さん。大丈夫なら構えろ、来るぞ」
さて、一応あの博士の爆音は強いし味方にもやばいけれど、耐性があるのか、はたまた隙があるのか、抜けてきてるやつも多いし、こっちもこっちで相手しますか!
とはいえ、敵が団体でさっきみたいな事が出来ないならやる事は簡単。
こいつら殻は柔いからジャンプしたり飛び越えたり下をくぐる時に思いっきりカタナをスイングするだけ!
そして────
「クルラララァァァァァア!!」
「ふっ!」
こういうカタナが間に合わない所からきた奴らは射杭糸機をある程度伸ばしてカタナを振る反動で振るって置けば、硬い糸があらゆるものを切り裂く盾になって対処できる!
「ふっ……やるじゃないか」
相変わらず嫌味な奴。でも────
オオバネが両手に持ったナイフを上手いこと逆手持ちにしたり指で力を加えたり角度変えたりして、最低限の力と動きで最大限の威力を出してる辺り、技術は相当なものだ。
背中は任せても良さそうだね。
さてそれじゃあ────
「もうひと踏ん張り、行くとしましょうか!」
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