中層下部:蠱毒の機窟
い、いきなり地面が無くなるとは!えっと、えっとー……そうだ!
「射杭糸機!」
ガキィン!
うっわ凄い音!でもなんとか刺さったし落下も防げたぞ……さて、あの主からなんとか逃げてたどり着いた場所なわけだけど……すっごいなぁここ。
構造が複雑な採古物の中にいるみたいだ。
勢いよく穴から飛び出た僕は射杭糸機でぶら下がりながら周囲を見回し、壁を埋め尽くすパイプや動き続ける歯車等のこの穴の機械的な構造を前にそう思う。
っといかん。油断してる場合じゃない!あの主は……いた!けど……入って来なさそう?あ、帰って行った。
あんなヒトが相手にするようなもんじゃないマモノが入るのを躊躇う場所だなんて……大丈夫なのかここ?……まぁいいや。
「とりあえずあちこちにランプがあるから明るいし、急な襲撃にだけは気をつけて別の出口を探そう」
天井が割と遠い所を見るに、ここから直接中層中部には繋がってないだろうからね。それに流石に入ってきた場所から出るのは怖すぎる。
とはいえ近場に入ってきた穴位の穴はないし、仕方ない。とりあえず上に登ろう。2日くらいかかりそうな場所にだけど、大きめの水が落ちてる穴あるしそこが目的地で。
さて、そうと決まればとりあえず今日は休もう。もう追いかけられ過ぎて体がボロボロだ。
そう考え僕が射杭糸機を解き、下の黒い足場へと着地すると、ガコンという音と共にその足場が動き始める。
えっ、えっ?えっ!?なんかこの足場動いてない?!しかも縦穴の方に動いてるし!急いで離れ────
「────る程でもない?」
いきなり動いたからびっくりさせられたけど、思ったよりもゆっくり動いてる程度だったや。とりあえず黒い足場以外の足場に移動してー────
ドスン!
うわぁっ!な、なにっ?!ってあぁ、なんだ。蟲の死骸が流れ着いただけか……ん?あ、もしかしてこの足場は蟲を真ん中の穴に落とすための足場?
よく見たらこの黒い足場って水が入ってくる穴の所にしかないし、多分そういう事なんだろうな。となるとここはあの蟲やらなんやらの死骸の処理所だったのだろう。
となるとこの穴の底には何らかの処理する為の採古物なんかがありそうなもんだけど……うん、なんにも見えないね。
でも匂いどころか音すらしない辺り、一体どうやって処理してるのかは全くわかんないね。
「さて、いつまでも考えて仕方ない事考えてても仕方ないし……」
そこの大きなパイプの裏とか入れそうな隙間あるし、そこで一晩凄そうかな。
そう思い落ちていく蟲の死骸を見送った僕は、パイプ裏にあったいい感じのスペースにテントを広げ、そこで休息を取るべく睡眠を取り始める。
やはり追いかけ回され相当疲れていたのか、直ぐに眠りへと落ちた僕はそれだけ疲れていたにも関わらず、どこからか迫ってくるような圧迫感を感じ跳ね起きる。
な、なんだこの迫ってくるような圧迫感は……!一体何処から……下か!
圧迫感の迫る方向を感じ取り、様子を見ようとパイプの隙間から身を出そうと思った次の瞬間、僕は見てはいけないものがあると感じ、素早く身を引いて息を潜める。
そしてその行動が正解であったかのように僕が息を潜めた次の瞬間、数多の存在を無理矢理一つにまとめ圧縮したような、歪な何かがすぐそこを通り過ぎて行くのを感じる。
……なるほど、アイツがあの主をここに立ち入れさせ無かった元凶なんだろうな。ケモノやマモノとは全く違う巨大な何かか……恐ろしいな。
「ヒトでは絶対勝てない存在……って言われても、信じてしまいそうだ」
そんな圧迫感を感じる威圧感を感じたよ。うん。
さて、そうと決まればとりあえずもう少しだけ様子見がてら休んで、早い所ここから出るとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます