緑淵遺跡2

 この遺跡に入って早1日、流石に少しはこの遺跡のあれやこれが分かってくるもので……


 ん、あれは……

 丸呑み草じゃないか、こいつに丸呑みされるとなかなか大変なんだよなぁ……


 そう、あれは昨日の夜の事────


 ーーーーーーーーーー


 どこもかしこも背が高い草ばっかりでテント建てれないなぁ……っておっ?あそことか良さそう。

 大き目の葉っぱなのかな?

 まぁいい、この大きな星型の葉っぱのおかげでテントが建てられそうなスペースが────


 バクンッ!


「へっ?えっ、ちょっ!」


 上に乗ったら勢い良く葉っぱ閉じたんだけど!?ってうわっ!めっちゃヌルヌルする!

 くっ、このっ!ヌルヌルで滑ってこじ開けれない!


「ひゃぁぁあ!」


 ヌルヌル垂れてきてゾワゾワって!

 い、いかん……このまま、このままじゃ……そうだ!ノックスデイガーで切ってしまえば!


 ベチャッ!


 な、なんとかなった……はぁ、もう全身ヌルヌルだよ。

 ほんと勘弁してくれぇー。


 ーーーーーーーーーー


 なんて事になるからね。うん。

 絶対に上を通らないよう気をつけないと。

 とりあえず邪魔だから石でも投げて────


 バクンッ!


 閉じてる間に横を通らせて頂こう。

 っておぉ、危な。

 おチビの親戚が足元におった。


「きゅうぅー?」


 キミはヒトの考えを読めるのかい?おチビよ。

 まぁいいや、とりあえずこのおチビの親戚こと草団子はまぁ……色んな植物の葉っぱをくっ付けて体を大きく見せてるだけの、逃げてばっかりの小さいマモノだからね。

 基本無視でいいんだけど、今回のは纏ってる葉っぱが棘に毒のある植物のだし、それだけは触らない様に気をつけないと。


 さて、一応目印立てながら数日歩いてきたけど、まっすぐ水の流れる方に歩いてるわけだし、そろそろこの遺跡ならあの場所にたどり着いてもいいと思うんだが……

 ん?今何か踏んだような────


「わぁぁっ!」


 何コレっ?!ツタ!?

 一体何処にこんなツタが────


「んっ、んくぅぅっ……!くっ!」


 い、いかん。

 こいつ、結構強い力で締め上げて来てる……!首にはかかってないからいいけど、体全体が締め付けられ……おっぱいが潰れて痛い!

 女って事が目立つから胸当て嫌だって言ってたけどやっぱり胸当て要るやこれ!まぁ、股の方は潰れる物が今は無いからくい込んで痛い程度で済んでるけど。

 っていかんいかん!そんな事悠長に考えてる場合じゃない!

 集中だ、集中しろ……力を広げて、その中の僕を縛るツタの上に力を……よし!


「断ち切れ!ノックスデイガー!」


 よし!上手いこと切れた!

 索力方とノックスデイガーの力を集中させた場所にナイフを出す能力、これの組み合わせ本当に強いな。

 さて……


「原因は、こいつかな」


 今僕が縛り釣り上げられた真横にあったこの立派な木、多分さっき僕を縛ったツタはこいつの物なんだろう。

 我ながら気が付かないのは迂闊だったけど、この木からツタが垂れてるのと、根元に他の植物の葉っぱがある辺り、下を通った獲物を縛り殺して養分にしてるのかな。

 尽く引っかかってようやくだけど、このエリアは罠みたいな植物が多いから、いつも以上に気をつけて行かないとだ。


 よし、気を引き締めて頑張るぞー。おー。

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