緑淵遺跡9
ぱちゃん。
「ふぅ……」
ほんと、大変だったなぁ……まさかあの後、トビキリ相手に2時間も戦い続ける事になろうとは思わなかったよ。
もう返り血に泥水にって被りまくったから全身ドロドロ、毛並みぐちゃぐちゃ。
一眠りする為に入った廃墟の近くに水辺があって本当に助かったよ。もしなかったらテントの中で水浴びしなきゃいけなかったからね。
でも本当に凄かったな。
カタナも糸も体液でドロドロになってたし、まぁそんなんなるまで使って切れたり刃こぼれしたりしてない射杭糸機の糸もカタナも凄いよね。
まぁ水浴びする前にやっといたけれど、本当にあぁいう戦いばっかりやってたらすぐ壊しちゃいそうだし、きちんと手入れをしないといけない所は注意しなきゃだ。
とはいえ、僕が倒した数が他の3人……博士はまぁ、うん、置いておくとして、全員が僕の倍近くを倒しているとは思ってなかったな。
正直、立ち振る舞いから舐めてたけれど、流石は中層チームって言うべき実力の持ち主だったって訳だ。
逆に言うとあれだけの力があっても下層には辿り着けないって事か。
内心、もう中層に挑めるくらいの実力はあると思ってたけど、 まだ暫くの間はこの上層で力を貯める必要がありそうだ。
それに、店長にあの性別転換の採古物の代金、きちんと払い切ってからじゃなきゃそんな帰るのに数年かかる場所、行くに行けないしね。
っていうかそうだよ。
僕男に戻る為に一応探査しながら手がかり探してるんだけど、まだなんの手がかりも得られてないんだよなぁ。
で、その割に何だか────
「お尻とか胸とか……ここ最近大きくなってる気がするんだよねぇ」
本当に男に戻れるのか?これ?
身体付きがどんどん女っぽくなって来てるし。
そのうち、女の人が時々なってた発情期とか僕にも来るのかなぁ……
明確に性別で見た目とか体の特徴が変わるヒトとか、性別違っても身体付き以外見た目も特徴も変わらない全く一緒なヒトもいるんだけど……
ま、幸いな事に僕の一族は後者の性別が違っても身体付き以外特に変わらない一族だからね、女の探跡者は面倒事が多いって聞くし、本当にその点は助か────
「誰!?」
……反応なし、逃げられたか。
水浴びする前にきちんと索力方でチームの奴らが寝てるの確認したはずなのに。
いや、それは今どうでもいい、問題なのは僕が今女であるとあのチームの誰かにバレてしまったことだ。
さっき女の探跡者は面倒事が多い事を聞いたの思い出したけれど、その1つがこの状態、男の数が多いチームに何らかの形で女が居ると……
確実に、間違いなく酷い扱いを受ける!
そして少なくともこのチームはあの目深フード姿のハクヨクさん以外男……ならその最悪の結末を防ぐ為には────
ーーーーーーーーーー
「……まさか、お前が女だとはおもわなかった。だが丁度、色々溜まってたんだ。さて、さっきの飯に睡眠毒を盛った。翼無し如きが俺みたいな尊い種族の慰め者になれるんだ、感謝しー……って、は?ぐうっ……!罠かっ!」
犯られる前に、殺れってね。
これ前に会った女探跡者さんから教えてもらった心得なり。
ちなみに最悪の結末とやらがどんなのかは知らないけど、やられるって言ってたし殺されるのかな?怖いわぁ。
ま、それはさておき。
「効果覿面だったみたいだね、リーダーさん」
数日後のある日、僕はテントに忍び込んできたその鱗のある男、仕掛けておいた罠にかかったリーダーを見ながら、少し離れた位置でそう呟くのだった。
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