隠れ家3

 ガァン!


 よし、準備出来た。

 それじゃあ射杭糸機を修理しつつ、前回の探索の成果やらなんやらをまとめるとしよう。


 正直、色々とあり過ぎてこんな集中できる作業でもしながらじゃ無きゃまともにまとめられる気がせんのよ。

 さてそれでは、とりあえず前回の報酬をまとめよう。

 まずはあのでっかいマモノの素材だけれど、それは今ディスモダルークで鍛冶屋のおじさんに預け、防具の強化とカタナの強化に充ててもらってる。


 死ぬほど切れるけど脆い……っていうのは、長期間探索する事が前提のここには全く向いて無かったし、これを期に少しくらい荒く使っても大丈夫になって欲しいものだ。

 んで防具の方は単純にあのマモノの鱗が硬かったから、中はそのまま外側を鱗で覆う事により防御力を高める寸法であります。


 なんてったってすれ違いざまに1回腕刃で切りつけたけど、傷つける所か火花出てたしね。

 あいつ本当に水生生物か?

 まぁそれはおいておくとして、本題はあの蒼いヒトだ。

 改めて思い出しても謎は多いがやっぱり肌が見えていた辺り、エルフとかドワーフみたいな昔のヒトの特徴を残してるらしい古代種である事は間違いなさそうだ。

 ただ、古代種とはいえエルフは機動力に、ドワーフは耐久力にといった一部分に特化してる種族ってだけで、あんな突然消えるような芸当は出来ないはずだ。

 まぁ百歩譲ってそれが採古物の力だとして、あのヒトが言っていた僕がジンを討つって言葉の方が気になる。

 そもそもジンっていうのが何か分からないし、マモノの一種か何かか?

 …………ダメだ、情報が足りなすぎる。


「考えるだけ無駄か」


 さてと、イカレてた捻り金も調整出来たし組み立て直しますか。


 とりあえず蒼いヒトの事は一旦置いておいて、貰った採古物についておさらいしておこう。

 解析してもらった所、どうやら採古物を中心に半径30m圏内の任意の場所をターゲットにした転移を行えるらしい。

 らしい、っていうのはまだ僕がその採古物を使えていないからだ。

 魔物なのだから力を食って発動するのは間違いないのだろうが、発動のトリガーになる行動がわからない為、まだ使えていないのだ。


 せっかく戦闘とか移動に使えるかって思ったのに、残念な事この上ないよ本当に。

 射杭糸機も先の戦いで壊れたし、今使ってる糸も無限にある訳じゃないからなぁ……なんとか射杭糸機を強化できる物か、戦闘とか移動に使える新しい道具が欲しい所だ。


「よし!直ったぞー!」


 多分。

 一応杭の部分をあのマモノの牙に変えたからなぁ……刺さりはしそうだけど、上手い所引っかかってくれるかなぁって感じだ。

 さて、それじゃあ早速お試ししてみて────


「長耳ちゃん、遊びきた」


 どうやら来客が来たみたいだ……といっても、ハクヨクちゃん以外居ないんだけどね。


「ん、いらっしゃい」


 そういや、ハクヨクちゃん移動系の採古物持ってたよなぁ……もしかしたら何かアドバイス貰えるかも。

 ま、でも。


「今日は何する?一緒に遊ぶ?」


 まずは遊んであげないとダメそうだ。

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