源流遺跡:禊の黒街4
バシュウゥ!
ひぃー!なんだ今の!ただの水鉄砲なのに地面抉れてるんだけど……あれだけは絶対に当たらないようにしないと。
さて突然戦う事になったけれど、とりあえずあの倒れてたヒトを安全な場所に運ばないと。
襲ってきたあのマモノ、長い首の先にある尖ってる頭にヒレがあるし、水から出てこない辺り多分水生のマモノか。
一応、索力方で探った感じどうやら前方、柵っぽいものの先の横長い四角い範囲が水っぽいな。
で、陸地は水辺側とその真正面には何も無し、少し水辺から離れた場所には崩れた壁と、壁が崩れきった瓦礫の山があるだけか。
相手は水生だしとりあえず瓦礫の裏とか崩れた壁の裏に運びこもうと思ったけれど、あの水鉄砲で壊されてるんだよね。
さてどこに運んだものか────
「ギュラァア!!」
バシュッ!
ちっ、考える余裕はくれないってか?しかも最初やってきたみたいななぎ払いの水鉄砲じゃ無きゃ溜め無しでも打てるし、範囲狭い代わりに威力も高いと来た。
瓦礫が抉れるじゃなくて貫通してるもんなぁ……こんな攻撃あるんじゃどこに隠してもっ!
「っ!」
かすっただけであの主級のマモノの素材で作って貰った装備に穴を開けるとは……身体もデカいし、こいつも主級のマモノって事……か?
まて、今あいつの撃った水鉄砲は天井に当たったよな?僕が2発目を回避したのは空中でだったし、当たるとしたら天井なんだけど……
うん、やっぱり崩れてない。なんなら穴すら空いてない。
なら、このヒトを置いて置くなら天井の上に運ぶのが1番……か。
でも────
バシュッ!
ちっ!
バシュウゥ!
「ギュララァァァア!!」
そう易々とは逃がしちゃくれないよねぇ……となると。
「何とかして一瞬、いや10秒は時間を稼がないと……だね」
くぅ……!最初の爆風と無理して担いで逃げたせいで変に身体痛めたか……さて、どうやってこの状況で時間を稼ぐかだけどっ!
……ダメか。ノックスデイガー作ろうと力を集めただけで反応して攻撃して来るとは……でもある程度近くに居たせいか前ヒレで直接殴ってきたか。
天井の穴は真上、範囲で言えばギリギリあいつの肉弾戦の範囲外……なら、活路はこれしかない!
名前も種族もわかんないヒト、ちょっと荒く動くけど何とか耐えてくれよ!
僕はそう意気込むと肩に抱えていた男を小脇に抱え直し、水中から首だけを出したマモノの元へかけて行きながら、空いている右手付近に力を集中させる。
バシュウッ!
そうするとこのマモノはギリギリ肉弾戦の外に居る僕に水鉄砲を撃ってくる。それを避けて懐に潜り込めば────
「ギュララァウ!!」
お手をしてくる!
ズズンと音を立て、潜り込んだ僕を叩き潰そうとした手をギリギリで避けた僕は、そのまま一足飛びに地面から手、背中へと跳び乗り、そのまま頭へと首をかけてゆく。
しかしながらそう簡単に行くはずもなく、マモノは僕を振り落とそうと暴れ始める。
でも、それは分かってた!だから!
「ノックスデイガー!」
「ギュラッ!」
こいつは力を集めた場所に反応する!
なら穴の方に予め展開しておいた索力方の力をノックスデイガーを使って集中させればそっちを向く!
ここまで来れば、後は穴から出るだけ!
「グギュラァァウ!!」
くっ、噛み付こうとしてくるか……!なら、射杭糸機でぐるぐる巻にして口を塞いでやる!
よし屋根に登れた!今の内に荷物とこのヒトを下ろして!
「きゅあ」
「おチビ、大人しくしててね」
「きゅいっ」
ってぬおっ!あいつ引っ張り下ろす気か!
このまま引っ張り下ろされたらもう振り回されるしか無くなる……仕方ない、直せるか分からないけど射杭糸機の糸を切る!
「グギュラララ……」
へっ、獲物を手が出せない場所に隠されてお怒りかい?ならこっちだって中層に進出する足がかりになるものを探しに来たんだ。
だから……
「お前にはその足がかりになって貰う!」
こうして僕は、2度目の主級マモノとの戦闘に望む事になった。
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