源流遺跡:禊の黒街2
「ん……くぅ……っ!」
し、死ぬかと思った……
まさか着地して足を滑らせてそのまま水に落ちるとは。
幸い、水に落ちたのは下半身だけでおチビは流されなかったけど、たった下半身だけであんなに必死にしがみつかないと流されそうになるほど流れが強いとは……
パッと見は流れなんてないように見えるくらい、飛沫も上がってない静かな水面なのに……ほんと恐ろしいなここ。
さて気を取り直しまして、とりあえず適当に走り回りながらめぼしい建物が無いか見てきたけども、パッと見何にもめぼしいのはなかったんだよねぇ。
いやまぁ広すぎて全部見終えた訳じゃあないけれども。
強いて言うなら今居るこの……
「テント建てるのにちょうど良さそうな……広くてなだらかなこの丸い天井のでっかい建物なんだけど」
上から中に入れる入口がないんだよねぇ……周りの建物飛び回って見た感じ一応水中には入口っぽいのはあったんだけど、ここら辺死ぬ程深いんだよね。しかも流れが早い。
どのくらい深いかっていうと、水底に崩れ遺跡で時々見る10メートルくらいの岩の柱が丸々一本真っ直ぐ突き刺さって沈んでるくらいには深い。
さて、ならどうするかって話ですけれど……天井を壊して?
いやいやいや。
確かにウチの一族は力が強いし、200歳越えとかの最盛期で筋肉モリモリマッチョマンの乗りに乗ってる男なら行けるかもだけど、僕はそんなんじゃないし。
それに今は女になっちゃってるから、力も落ちちゃってるし。
というかそもそもこういう石の建造物を素手のパンチで砕く威力で殴ったりしたら普通、手の骨が折れるに決まってるじゃん。
じゃあカタナで斬って穴開ける?ここの天井がどれだけ厚みあるかわかんないし、それ以前にこのカタナは硬くないからそういうのを斬るのに向いてないので無理。
ならどうするかって話だけれど……
「ノックスデイガー」
こいつで出来ればザクザクっとダメならガリガリっとやって地道に削るしかないでしょう。
ただ最初にある程度傷を付けたいので、とりあえず前方に絞って光刃千降を────
「────っ!?」
なんだ?!力を広げた場所に引っ張られて────いや、今はとにかく離れる事を!
よし!杭が天井に届いた!ってうおぉ?!
「ば、爆発した……」
なんだったんだ今のは……
とりあえず、何とか射杭糸機の巻き取りが間に合って離脱出来たけれど、力を広げた場所に吸い込まれ始めたかと思ったらいきなり蒼い光を撒き散らして爆発したぞ。
なんかそういう罠でも貼ってあったのかなぁ……まぁいいか、あの爆発のおかげで天井に穴が空いたんだし、遠慮なく入らせてもらー……ん?
穴の奥に倒れてるアレはヒト……か?
とりあえず降りて確認してみよう。
ふむ、一応ヒトではあるね。
尻尾、耳、角は無い当たりなんのヒトかは断定できないな。ただ髪はあるのに顔に毛が無いし、エルフかドワーフ辺りのヒトっぽそうだ。
髪は銀髪で、僕よりも背は高いしガタイもいいし性別は男で間違い無さそうだ。その上、エルフ基準なら顔立ちもいい。
服は……見た事ないな。
ベストが細長い布を4、5枚合わせたみたいになってて隙間から蒼い光出てるし、なんだこの服本当に。
後はなんか五つに別れたマントに、蒼い光がヒビから出てる黒い仮面をつけてる。んで、マントと装甲組み合わせたブーツに篭手には蒼い宝石が埋め込まれてるって感じか。
「……なんか凄い見た目してるなぁ」
とりあえずこの人このままにして探索は出来ないし、一旦屋根の上に出て────
「ギュラァァァァア!!」
っ!
やられた、爆発に驚いて索力方を解除してたせいで入口側の水の中でマモノが潜んでいたのに気が付けなかった。
幸い、倒れてたヒトも僕も怪我はないけれど……こんな地形じゃ逃げ切れないし……
「……戦うしかない、か」
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