源流遺跡
あちこちから水の流れ落ちる音が聞こえ、足には常にサラサラと流れる水の冷たさが染みる東の遺跡。
源流遺跡と呼ばれる遺跡へと中層攻略に役立つ物や、返済の足しになる物を求めて僕はやって来ていた。
崩れ遺跡とか緑淵遺跡に比べたら足場も悪いし、小型のマモノが居たりして探索はしずらい……って言っても、上層の遺跡だから割と探索し尽くされてる感じなんだよねぇ。
それに、水が流れ続けてるからか結構建物の壁とか削られてるし、小さな採古物とかは流されてるかもしれない。
んーで、その割には……
「ガァロロ!!」
飛びかかってきたか、なら小さいし避ける為に頭を下げながらカタナを振り下ろして真っ二つに────
「ぶっ!」
……またやってしまった。
水に住んでるマモノが飛びかかって来た時に頭を下げて反撃するもんだから、毎度毎度思いっきり顔を水に突っ込んじゃうんだよなぁ。
うぅ、顔だけ濡れて顔が重い。それに多分目元のメイクまで落ちてるんだよねぇ……後で塗り治しとかないと。
あれ塗っとかないと少なくとも同族には女だって言ってるみたいなもんだし、乾いたら本当に直ぐ塗らなきゃ……ってあぁ!
せっかく倒したマモノの体が!射杭糸機でなんとか……とれたぁ。
ほんと、休む暇が無いとはこの事でー……って。
「クゥルシャァァアア!」
次は飛行型か、ならこいつも────
「ぶっ!」
まぁたやっちゃったよー!
ーーーーーーーーーー
「……はぁ、やっと乾いた」
丸一日くらい進んだ場所だけど、水から出てる足場があって本当に助かったよ。なんたってもう膝から下がふやけるくらいずーっと水の中だったからね。
「きゅうっ♪きゅう〜♪」
うむ。おチビも水に浸からないで湿気だけ吸ってたせいですっごい爆発してるな。
んで、足が分からないくらい爆発してるからか知らんけど、転がるのを楽しんでらっしゃる。可愛い。
さて。少しは和めた事だし、改めて休憩がてら周りを見回してみながら、今日1日この遺跡を探索して分かったことを思い返しつつまとめてみようか。
これはまぁ分かってたことだけど……暗いね!うん!ひたすら暗い!
地面にほぼ全部ずっと水が流れ続けてるからか知らないけど、崩れ遺跡みたいに街頭とか光水が所々にあったり、緑淵遺跡みたいに発光植物があったりなんてないからね。
そう、そして何だかおかしいって思ってたけれど思い返してやっと分かった。
この遺跡、植物が一切生えてないんだよ。具体的に言うと木は勿論、草とか水草どころかコケすら生えてない。
でもその割には小型のばっかりだけど、飛行型と水生のマモノが多いんだよな……それに崩れ遺跡が嘘みたいに息をつかせないくらい続けて襲ってくる。
単純に考えて下流に位置する崩れ遺跡には全く居ないんだから、上流にもマモノは居なさそうなもんなのに、ほんとなんでこんなにいるんだか。
「やっぱ崩れ遺跡に直接大きな流れが無い分、ここのマモノは住めないのかな?」
とはいえ、このままだといつまでもマモノの相手で探索は全然進まないし────
「……そういや、今はマモノ来てないな」
最初テントの圧縮箱開く時はまだ飛行型のだけちょくちょく来てたのに……
とりあえず探索中と比べてみよう。
まず明かりに使ってる光水ランプは探索の時に出してたやつだし、テントはー……そもそもそんな機能は無いし、あったとしても出しっぱなしには出来ないしなぁ。
他に、他に何か探索中との違いは────
「きゅ〜うぅ♪」
はいはい卵ねーって、ん?
まさか、マモノが来なくなった原因って……おチビ?
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