緑淵遺跡5
あの後、数日かけてじっくり都を探索したものの最初の予想通り全く収穫はなく、都を後にした僕はその後コンパスが北をさす方角へ歩き続け────
今日でもう1ヶ月経つぞ……本当にどれだけ広いんだこの穴……
「きゅあー」
ごめんねおチビ、卵は昨日のが最後だったんだ。
でも、でもようやく……!穴は後ろの方あるのに方位磁針が北を指してる方が前に!
つまるところ────
「緑淵遺跡の大穴超え、成し遂げたぞー!」
「きゅいぃぃ」
おっと、急にうるさくしちゃっておチビが不機嫌だ。
お肉食べるかい?
「きゅあむ」
うむ、可愛い。
という事で、後はただひたすら前進あるのみ!
にしても最初はこの遺跡、もはや遺跡じゃないよなぁって思ってたけどこうやって歩いてると所々に建物の崩れた跡はあるし、地面も硬い補填された物なんだよね。
とはいえこの緑淵遺跡によって崩れ遺跡の文明は発展したと言われているとおり、本当に近くしか見えないレベルで植物がある割に、食料となる植物が割とある。
しかも負けじとばかりにあちこちに池とか川があるレベルで水に満たされてる。なんどドボンした事か。まぁ、毛を洗うのに困らなかったのだけは良かったけど。
おかげで貯蔵分の食料もそこまで減らなかったし、本当に助かったよ。
でもこんな他植物に荒らされてるにも関わらずあんだけ食物植物あったのに、なんでこの文明は滅んだんだろう?
昔から何かが滅ぶ時は何かを求めて争った時、っていうのを耳にしたことはあるけれど食料は満ちていているし、あのホールを見た限り身分差っていうのもなさそうだった。
かといって他文明からの侵略っていうのはこの世界じゃあ考えられないよなぁ。
なんせこの陸の外は荒れる波が氷結し燃え盛り蒼電走る大海原だ。
それにここ以外に存在する文明は少なくとも五百年そこらの新参者、この地に眠る数千年も昔からあるものじゃないもんな。
という事は……
「やっぱりあの黒神って奴の仕業なのかな?」
でもあんな像があるって事は一応信仰されてたんだろうし、そんな信仰してくれてる対象を神がわざわざ滅ぼすなんてあるのか?
と、いうかそもそも神なんているのか?
……うーむ、わからん。
でも黒に霧か…………ケモノと何か関係が?
あいつらは体の中には何も無くて、その代わり黒い霧みたいなものが渦巻いてた。
それと何か関係が……間違いなくありそうだよなぁ。
まぁ、今考えても仕方がない。
ケモノとその神様には何か関係がある。それだけ頭の片隅に置いておけば、まぁいいでしょう。
そんなことよりも今は!
「やっとこさ植物が少なくなり始めた!」
もう少し進めばこの遺跡ともおさらば!
これで久しぶりに濡れる事を気にしたりとかマモノに警戒したりとかあんまりしないで良くなりそうだ。
あぁ、この黒い地面に天井、壁、久しぶりだ。
私はこの崩れ遺跡に戻ってこれたんだー!
こうして僕の長い長い緑淵遺跡の初探索は幕を閉じたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます