崩れ遺跡6
「んじゃ、加工代は余った素材で補填させてもらうからな」
「ん。ありがと」
「いいってことよ。ディスモダルークに店を構えて100年になるが、主級の素材を加工するなんて貴重な体験を初めてさせてもらったんだ。例を言うならこっちだぜ」
改めてかっこいいよなぁこういうヒトって。
流石にこの鍛冶屋さんみたいな職人にはなれないけど、男に戻ったらこんな感じのヒトになりたいもんだ。
「遺跡に行くの明日なんだろ?生きて帰ってこれたら修理に持ってこい。まだ素材の分の代金が残ってるからな」
喋り終えた途端必要な事は言い終えたと言わんばかりにまた鉄をたたき出す……!
くー!かっこいいなぁー!
僕も負けてらんないね!
次の探索は気合い入れて頑張るぞー!
ーーーーーーーーーー
と、言ってもまずやる事は前回主を倒した遺跡街の家を漁る事からなんですけど。
お、また採古物だ。
いやぁー。あのマモノの蛇腹状の鋏角を使って作った篭手と肘膝のプロテクターが快適過ぎて探索が捗る捗る。
加工屋さんを店長に紹介して貰ってほんとよかったよ。
まぁ「その腕の毛を切れ」って言われた時は殴ってやろうと思ったけどね。
「ヒトの種族の誇りをなんだと思ってるんだ。袖毛の長さは尻尾の立派さと同等なんだぞ。あ、また見つけた」
後あれだね、力索方をモノにしたおかげで明らかに何か機能を持ってる物が力索方を広げてる範囲内なら分かるのが大きいね。
さて、それじゃあ弁償の為の金稼ぎはこの辺にして、本題の場所……主の住んでいた穴の底にもう一度行きますか。
ってうわー……底が見えませんね。
光水が死んだせいもあるんだろうけど、前はこんな高い所を飛び降りたのか、それも躊躇なく。
我ながら凄い度胸だ。
さて、流石に今回はあんな無茶な行き方はせず、ゆっくりと行く事にしますか。
とはいえ魔法みたいに使えば頑丈な道のできる採古物なんかある訳はないので、前回帰る時に地道に作った壁へ差し込んだ足場用の少し平べったい杭を使って降ります。
射杭糸機を使えばいいじゃないか?
あれは降りるのは楽だけど言って長さは100m程度、使う時は投げて使うからこういう縦穴だと行きはともかく帰りがやばいし、底に付かなくてもやばいので使いません。
さて、1時間くらいかかったかな?
無事底に到着したけれど……壁が凹んだり地面が凹んだりしてるって、僕はどんだけやばい奴を相手にしてたんだか。
やっぱり一撃でも直撃貰ってたら危なかったな。うん。
でも今回ここに来たのは思い出に浸る為じゃなくて……
「あった。ここだ」
穴の底の壁際、そこに主級と戦った後の回収作業中に見つけたぽっかり空いている小穴これが今回の探索、そのメインである。
まず間違いなく何かあると思うんだよね。
こんな埋まってる場所の底、これが空気穴程度でもどこかに繋がってない限り穴の底なんていう淀んだ空気が溜まる場所には住めないだろうし。
ならばこの穴がどこかに繋がっているのは明白。いざ探索ですよー!
とはいえ流石にこの体が通れるか通れないか程度のサイズの穴、荷物を背負って通れるはずも無いので……
はい、圧縮箱ー。ほんとこれ便利だよなぁ……
色んな圧縮箱の入ったバッグを圧縮して、それをウエストポーチに入れれば……
「きゅいぃぃ」
おっと、おチビごめん。
でもすまん、暫く狭いの我慢しておくれ。
さて、それじゃあお腰に携帯食料と水筒引っさげて、どれだけ続くか分からないせまーいくらーい横穴へレッツゴー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます