第21話 はじめてのだんじょん

「ほら、やっぱり私の力が、役に立ったでしょ。」

 聞き込みの結果は、大雑把な物だったので、適当に当たりをつけてから、空気の流れを聴覚で捕捉し、洞窟の入り口特定に繋げる。

 ……つもりだった。

 今、俺達の眼前に洞窟の入り口が、広がっていた。

「だから言ったじゃない。『土行』の術を薄く広く使えば、どんな地形でも瞬時に、把握可能よ。分かった。」

「漫画で読んだ事がある。

確か、柴犬を飼う家族の話だ。

『決め顔は「ドヤ顔にやり」』

だったな。今の貌こそ、それだ。」

「何かいったかしら。」

「いいや、別に。時間の無駄だ。さっさと入る。」

「ちょっと、感謝の言葉も無いの。」

「『手伝う』そう言ったのは、お前だ。」

 こうして、明かりも灯さず、洞窟に入る2人だった。

 ……と言うか、暗闇をものともしないだけだが……

「あら、気付いたの?」

「知ってるんなら、教えろよ。『手伝う』んだろ。」

「『粘泥異人』よ。『土行』の術で、人の形をした土塊を動かすの。殆どは、肉体労働要因だけど、術者の実力次第で、戦士にもなりえるわ。」

「ふうん、あれがそのネンドロイトか。……お、動いたぞ。後ろに看板が、あるのか。何々……。」

「ここは、『龍王』の住まいである。招かれざる者、入るべからず。警告を無視したる者、裁きを与える。」

「だとよ。」

「ふーん、でもあなたは、無視するんでしょ。」

「そーだなー。でも、闘いなんて、無駄な事するつもりはねぇーな。」

「あら、じゃあ『裁き』を受けるの?」

「こーする。」

 毎度お馴染み、『影化』『保護色』の『コンボ』を決めた俺。

「え! ちょっと! どうしたのよ!」

「お先に……。」

 美理亜を置いて、奥へ々々と進む俺だった。


 * * * 


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