第3話 はじめてのばいく

「漫画で読んだ事がある。

確か、宇宙船サバイバルの話だ。

『目出たさも 中くらいなり おらが春』

だったな。」

「何故、今、小林一茶。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界にいない。

”何がいいたいのぢゃ。”

【んー、苦労して『勝って』『狩った』のに、たいして回復してねぇーな。ってな。】

”ふん! あのような雑魚では、腹の足しにもならぬわ。”

【食いしん坊だな。】

”いぃぃやぁぁぁっかましい! 命の恩人に何を言うか!”

【ちなみに、俺が死ぬと、お前は『異世界人を殺した罪』に、問われるじゃなかったか。】

”ぐぬぅぅ…。”

【足が欲しい。だが、飛べない以上しゃーない。こいつで行こう。……『物品創造』!】

『ピカッ! ピコピコピコン』

”ん? 今何か音がしなかったかや?”

【きっと、気のせいだ。】

”説明するのぢゃ! 『物品創造』とは、『神通力』ぢゃ。内容は、『術者が、理解している任意の物品1つを作り出す。』ぢゃ。”

【生物を作る事が出来ない事を除けば、実に有意義な能力だ。また、魔法の品も俺が、原理まで詳細に知っていれば作れる。『神剣』は、原理を知らないので、無理だ。】

”何ぢゃ? これは。”

【ハーレーダビッドソぉぉーン! 俺の愛車ぁぁーっ!】

”何ぢゃぁ…この奇天烈な、屑鉄は? 抱き着くとわ、どうかしておるぞ!”

【屑鉄じゃねぇっ! ハーレーダビッドソン!】

”して、これは、如何な役に立つ?”

【こいつとの出会いは、爺っちゃんのガレージだ。俺が、こいつを欲しいって言ったら、爺っちゃんが、『免許とれたらな』って言うんだ。】

”ぢゃから、これは、何の役に立つ?”

【でも、爺っちゃんは、俺にヘルメット付けてくれさ、一緒に乗せてくれたんだ。あの時の事は、忘れられねぇぁ……。そーいや、お袋の味よか婆ちゃんの手料理の方が、うまかったな。】

”ぢゃ・か・ら、何時になったら、わらわの質問に答えるのぢゃ?”

【『これ』じゃない。ハーレーダビッドソン! 『魔力』を燃料に変換する機能を、付けたから、問題なく動く。……とおぉっ!】

 俺は、ハーレーダビッドソンに、またがり、エンジン始動! 

「ひゃぁぁぁっー! はぁっー!」

 俺を乗せたハーレーダビッドソンが、風を切り進む。山道もお手の物だ。

「おっ? 村だ。村が見えるな。今晩は、あそこに泊めてもらおう。」

”駄目ぢゃ。人里に入ると大問題が、発生するのぢゃ!”

【何だ? そりゃ。】

”よいか、人里で、宿泊や食事をするとな。銭を支払わねば、ならぬのぢゃ! それで、かなり苦労したのぢゃ。”

【それは、お前じゃなく、お前の持ち主だろう。】

”今、わらわとお主は、一心同体。同じ事ぢゃ。それに、お主は既に『飲食不要』『睡眠不要』を獲得しておる。問題なかろう。”

「それは、断食不眠不休で、走り続けろと言いたいのか。何処のブラック企業だよぉっ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界にいない。

【世界地図なら、頭に入っている。縮尺も自由自在だ。で、ここは何処だ?】

”左様に些末な事知らぬわ。”

【なら、人間に聞くしかねぇーな。】

”道を尋ねるだけにせよ。”


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