第18話 はじめてのやどや
「意外だった。もっと、時間がかかると思ってた。」
「想定外の事態は、門で止めずに、隔離施設送り。そこで、時間をかけて調べる。それが、領主閣下のお下知です。私も、後で証言の為、出頭します。申し訳ありませんが……」
「漫画で読んだ事がある。
確か、戦国時代の大名の話だ。
『殿が、討ち死に為された以上、これからは、若が家を守らねばなりません。お下知を!』
だったな。要は、部下に命令する。それを『お下知』と言うのだ。」
「夕食は、握り飯ですますって。ダイジョーブさ。」
「申し訳ついでと言っては、なんですが、街を案内できそうにありません。何分、暇つぶしになりそうな物などありません。そこは、ご甘受頂きたくお願い致します。」
「ん? ああ、気にすんなって、俺の方こそ色々ありがとな。」
「お、ありました。今日の宿です。」
こうして、俺達は、今日の宿で一息ついた。勿論、馬久兵衛さんは、チェック・インの手続きや、前払金など雑用が、多い。俺は、ぼんやりと待つだけだ。
”分かっておろうな。”
【何だ。突然。】
”こうも容易く、『龍族』の情報が、転がりこむとはのぉ。さっさと『狩る』のぢゃ。”
【そりゃ、『狩る』さ。だが、まだ早い。情報だ。もっと、情報が欲しい。】
”まったく。歯がゆいのぉ。”
「龍一様、部屋がとれました。参りましょう。」
「おお。」
勿論、宿も靴箱と三和土があって、靴を脱いで上がる。鍵のかかる靴箱は、銭湯などで見かける奴によく似ている。
成程……猪鹿村は、顔見知りしか来ないから、あれで済んでたが、不特定多数の人間が、来るならこの位の設備投資が、必要になるか。
「鍵を紛失された場合、再発行費銅貨10枚頂戴いたします。」
これは、張り紙だ。銅貨10枚? 約千円か……高いとも安いとも言えないな。
でも、これ払うの馬久兵衛さんだ。気を付けないとな。
「龍一様、宿の女将が、教えてくれました。川の下流に、『龍族』の住処が、あるそうです。『くれぐれも、近づいては、なりません。』いいですね。」
「うん、分かった。」
* * *
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