「ヒーラーの方が安上がりだ!」と追放されたが私じゃないと患者さん死にますよ? ~治せないから戻ってこいと言われても『ドクター』スキルでもあなたたちは手遅れです。あ、患者さんはこちらでお待ちください~
【ブラックギルドside】非人道的な方法でストライキを解決する
【ブラックギルドside】非人道的な方法でストライキを解決する
「して、まずはストライキの解決方法だ」
その日の役員会議の事である。
「まずはそこであろう。ストライキを解決しないと人材を派遣できない」
「そうだ。冒険者ギルドに人材を派遣できなければ利益のピンハネができぬではないか!」
「我がブラックリベリオンの収益が大きく低下してしまう。現在進行形だ! 今も会社が回らず損失を出しているのだぞ!」
「全く、人間というのは怪我はするし、病気はするし。不便だな。ん? 待てよ? 人間だと?」
「何か思いついたのか?」
「私に良い考えがあるのだよ」
「良い考えとはなんですか?」
アルバートは質問する。
「ああ。こうすれば万事解決だ」
役員の計画を聞いた時、アルバートでも身震いした。
「なんという素晴らしい考えでしょうか! 流石役員様! 考えている事が違います!」
「そうだろう。この計画を実行すれば連中は何でも言う事を聞くようになる。利益のうち50%をピンハネしてきたが100%をピンハネするようになるのだ」
「しかも我々に絶対服従。もはやストライキなど起こすはずもあるまい」
「それではアルバート。貴様はストライキを起こしているギルド員を集めろ」
「どうやってですか?」
「嘘八百を並べればよい。例えばそうだな。シオンが戻ってきた。それがいいだろう。その上に給料を大幅にアップした上に、無理なクエストには派遣しない。などの言葉を並べればよい」
「はい! わかりました!」
アルバートは大人しく従った。
◇
「アルバートギルド長、本当ですよね!? 本当にシオンさんが戻ってきたのですか!?」
「ああ。本当だ」
倉庫のような施設には多くのギルド員が集まっていた。中には重症者及び重傷者も含まれており、実に痛々しい光景であった。
「やった! これで俺達の怪我や病気も治る!」
「その上に給料も大幅アップなんだろ!」
「無理な難易度のクエストにも行かなくて済む!」
「俺このギルドブラックギルドだと思ってたけど、ホワイトギルドになったんだな!」
「ああ! 俺このギルドに入ってよかった!」
「私もよ!」
「これで田舎の両親楽にできる! 今まで仕送りも少ししかできなかったんだ!」
何も知らないギルド員たちは手を叩いて喜ぶ。
アルバートはにやりと笑った。
「殺れ。アサシン部隊」
「「「はっ!!!」」
「う、うわっ! なんだこいつらっ!」
突如現れたアサシンたちの無情な刃が襲い掛かる。
「ぐわっ!」
「ひ、ひいっ!」
ブシュ! ザシュ! グサッ!
プシャアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
喉元を斬られ、鮮血が噴出される。
「い、いやぁ! なんで! なんでよぉ!」
「お、俺達を騙したのか! ひでぇ! 何て奴だ!」
「ああ。騙したさ。でも思わんか? 騙される方が悪いのだと。そんな美味い話あるわけがなかろう」
「い、いやぁ! 死にたくない! 死にたくない!」
ザシュ! アサシンの無情な刃が生命を絶っていく。
それは実に凄惨な光景であった。
「全く、人間というのは扱いづらいものよの。その点、死体は便利だ。死人に口なし。死人は文句のひとつも述べはしない。役員達、流石に悪事に関してはよく頭が回るものよ。クックック」
アルバートは笑みを浮かべる。シオンがこの事を知ったら後悔したかもしれないが、それでも救える命を救うのが彼である。今後も同じことをするに違いない。
それにアルバートは手足である。役員という元凶がいるのだ。アルバートの命を救った事が、直接的に彼等の命を奪ったわけではない。
瞬く間にギルド員たちの死体が並ぶ。武器も持たず、不意打ちをされたのだから仕方がない。
「ネクロマンサー部隊! ネクロマンスでこいつらを生きる屍(ゾンビ)にせよ!」
「「「はっ!」」」
続いてネクロマンサーの部隊が現れる。彼等は死体に死霊術(ネクロマンス)をかけていく。
裏のギルド員がネクロマンスで死体をゾンビにしたのである。
「「「「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」」」」
うなりながら死体が起き上がる。
「ぐっふっふ。これで連中は俺らの言いなりだ。そしてクエストに派遣した場合、その利益が丸々と入ってくる。なにせ死体は飯を食わないのだからな。遊びも必要ない」
アルバートは大笑いをし始める。
「クックックック! アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」
アルバートの哄笑が響き渡った。
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