聖剣デュランダルの在り処
獣人の国に来たひとつの報せ。
「聖剣デュランダルがついに見つかったのですか」
エミリアはその報せを受け、少なくない動揺を覚えていたようだ。
「どうかされたのですか? エミリアさん」
「はい。シオン先生、実は」
エミリアは語り始める。
◇
「かつて王国デュランダルに伝わっていたとされる伝説の聖剣デュランダルが見つかったのですか!?」
「はい。そのようです。かつて我が王国デュランダルには聖剣デュランダルが伝えられていました。その国名も聖剣から由来しているのです。しかし、聖剣デュランダルは長きにわたる歴史の中で喪失されました」
エミリアは語り始める。その目には深い感情が秘められているようだった。王国にとってそれだけ聖剣デュランダルの存在が特別であるに違いない。
「ですが、発見されたのはダンジョンです。しかもそのダンジョンは幾人もの冒険者が命を落としているという大変危険なダンジョンらしいです」
「そんな危険なダンジョンだったのですか? だとしたらなぜ聖剣デュランダルがあるとわかったのですか?」
「そのダンジョン自体は大分前から存在していました。長い時間と多くの冒険者の命を犠牲にし、ついに最奥部まで到達したのです。その最奥部に到達した手練れの冒険者パーティーはあえなく全滅しかけました。そして命からがら逃げ出した一人の冒険者が、聖剣デュランダルの存在を伝えたそうです」
「そうなのですか。そんな事が」
「……ですがそれはあくまでわたしの、わたし達の事情なのです。聖剣デュランダルを取り戻したいなどと。今のわたしは獣人の国の看護師(ナース)にすぎませぬ。王国デュランダルの王女である事などに二の次なのです」
エミリアは寂しげに告げた。やはりどこかまだ未練があるようだった。これはいけませんね、私はそう思っていた。
「ヒーラーの方が安上がりだ!」と追放されたが私じゃないと患者さん死にますよ? ~治せないから戻ってこいと言われても『ドクター』スキルでもあなたたちは手遅れです。あ、患者さんはこちらでお待ちください~ つくも/九十九弐式 @gekigannga2
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