「ヒーラーの方が安上がりだ!」と追放されたが私じゃないと患者さん死にますよ? ~治せないから戻ってこいと言われても『ドクター』スキルでもあなたたちは手遅れです。あ、患者さんはこちらでお待ちください~
【ブラックギルドSide】竜人国にウィルスをまく
【ブラックギルドSide】竜人国にウィルスをまく
「ふむ……獣人国の医療独占ですが、ここは諦めましょうぞ」
「な、なんだと! せっかくここまでやってきたのに諦めるだと!」
役員会議での出来事だった。
「諦めも肝心だぞ! シオンが獣人国にいる以上、獣人国の医療独占による支配は困難だ!」
「そこで別の手段です。我々『ブラック・リベリオン』で特殊なウィルスの培養に成功しました。それが竜人に効く特効ウィルスです。このウィルスが体内に入ると竜人は竜死病という、死に至る病を発病します」
「竜死病だと!? それは誠か!?」
「次は竜人国に竜死病を流行らせます! そしてそれを治療させる治療薬を言い値で支払わせるのです! あるいは我々への服従を誓わせます! これで我々『ブラック・リベリオン』の未来はより明るい、安泰したものとなるでしょう!」
「す、素晴らしい! 素晴らしいですぞ! 役員殿!」
「は、はい! 私もそう思います! 素晴らしい計画ですとも!」
アルバートとレイドールは手を叩いて賞賛する。
「それではアルバートとレイドール! 竜人国へ出向き、ウィルスをバラまいてこい!」
「ええ!? 俺達が行くんですか?」
「わ、私もですか!?」
「貴様たちは失態を犯した! だからその罪を償う為にその身を犠牲にすると誓ったではないか!」
「拒否権はないのだぞ。貴様たちに」
「ぐぬぬっ……わ、わかりました。役員様」
「は、はい。わかりました。役員様」
こうしてアルバート達は竜死病を流行らせるため、ウィルスのばら撒きに出向く事となる。
◇
「ぐぬぬっ! なぜ俺がこんな仕事を!」
「ええ……私も同じ気持ちです」
「だが、仕事は仕事だ。ちゃんとやらねば」
防護服を着た二人は巨大なカプセルを背負っていた。
「これから竜人達が大慌てして苦しむかと思うと心躍るわいっ!」
「ええっ。私もです! 人の不幸は蜜の味がします」
二人はにたにたと笑う。
「それえええええええええ!」
「くらえっ!」
二人は巨大カプセルを解き放った。中から異様な煙が放出される。このカプセルの中にはウィルスが入っているのだ。
「ぐっふっふ! これで汚名は挽回したようだな」
「ええ……汚名は返上するものだと思いますが」
「なんだと! レイドール! 貴様俺をバカにしているのか!」
「わ、私は間違いを訂正しただけです。なぜ怒られなければならないのですかっ!」
「そうだの。すまぬ。それより用は終わったし帰るぞ」
「えええ……」
ドスン、ドスン。竜が歩いてきた。ギロリ、睨まれる。とても勝てそうにない。
「そうだ! ここは竜人の国だぞ」
「ええ。その通りです! 大変危険であります!」
「「「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」
二人は全力で逃げて行った。
◇
「よくやったぞ。アルバート、レイドール」
「無事に竜人国にウィルスをバラ撒く計画は遂行できたようだの」
「ええ、はい」
「何とかまあ」
『ブラック・リベリオン』に戻った二人は役員会議でそう報告をする。
「これで竜人国の医療独占をする計画は順調に遂行しそうであるな」
「ええ」
「これで我がブラック・リベリオンも安泰ですぞ!」
役員は手を叩き喜んでいた。しかし、突如報告が来る。
「役員達! 大変でありますぞっ!」
闇のギルド員が駆け込んでくる。
「な、なんだと! 何があった!」
「シオンです! シオンの奴が獣人国に続き竜人国でも治療を開始したそうです!」
「「「なんだとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」
「くそっ! シオンの奴め! また私達の邪魔をするつもりか!」
「アルバート! シオンをクビにした責任、どう取ってくれるのだ!」
「お、俺に言われましても! その!」
というより役員も賛同していたではないか、そう嘆きたかったが主張はできない。立場故に。
「くっ、奴のせいで計画が狂いっぱなしだ」
「どうすればいいのだ? シオンの奴を」
「次だ! 次の手で挽回するのだ!」
役員達は躍起になっていた。まだまだ彼らの野望は終わりそうにない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます