幕間
これは僕の記憶、なのか……?
まるで夢を見ているようだ。たしかに僕は限界突破を繰り返した。繰り返したはずだ。
……なんでだろう。僕は自分の体を動かすことができない。
僕はフォルトゥナとドッペルゲンガーを倒して限界突破を続けている。いや、続けていた?
…………それとも、もう終わったんだったっけ?
頭の中がぼんやりとしている。
僕はまたドッペルゲンガーの1体を倒した。そしてそれを吸収する。
もう何回繰り返したかわからない限界突破だ。
そうだ、僕はドッペルゲンガーを倒しているはずだ。
……それなら、今ここにいる僕はいったいなんなんだ?
僕は……僕なのか?
それにここはいったいどこなんだろう? まったくわからない。見回したいが顔を動かせない。それどころか目も開けることができない。僕は今どうやって、そしてなにを見ているのだろう……。
僕は考えることを放棄した。考えても答えなんて出ない気がしたからだ。
それに僕はフォルトゥナとたのしく旅をしている途中なんだ。フォルトゥナ以外にも誰かがいたような気がする。誰だったんだろう。よく覚えていない。
………………それに、旅をしている? いったい誰と、誰が?
…………誰と? フォルトゥナじゃないのか?
僕はなぜ今ひとりなのだろうか。僕はフォルトゥナといつもいっしょだった。さっきまでいっしょだったはずだ。いっしょだった……はずじゃなかった?
さっきって……いつだ? いつのことだ?
僕は頭がおかしくなったのだろうか。それとも、僕が僕だと思っていた僕は僕なんかじゃなく、誰か知らない僕に良く似た誰かなのだろうか。
今見ているのは本当に僕の記憶なのか? 夢、なのか……?
ズキッと脳に痛みが走ったようだ。凄まじい痛みに意識が飛びそうになる。僕は声にならない声をあげる。口は動かない。体をよじることもできない。痛みの津波に襲われ続ける。止まない痛みに僕はなにも考えられなくなった。
それでも僕は気を失わない。
延々と続くかと思われていた痛みだったが、徐々にその波が引いていった。
僕は自分の置かれている状況がまったくわからない。ここは、どこなんだ?
どうして僕の体は動かないんだ?
どうして僕は家でも学校でもないわけのわからない場所にいるんだ?
どうして僕はドッペルゲンガーを倒して限界突破をしていないんだ?
どうして僕はフォルトゥナといっしょにいないんだ?
………………。
………………。
………………フォルトゥナ、どこに行っちゃったんだよ。
僕の意識は混濁してくる。ぼんやりとした記憶の中には、笑顔のフォルトゥナが眩しすぎる笑顔を浮かべていた——気がした。
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