どんな私でも貴方となら:5
「…え?」
「いや、あの。その他大勢の方々に可愛いと言われても何とも思いませんが、やはり好きな人に言われると違うみたいで…」
「あっ…えっと、そう…好きな人…うん…」
「「……」」
「ちょっとそこ、イチャイチャしないでくれるかしら?」
「「ごめんなさい…」」
青筋を立てた祈織の言葉で私と奏はハッと我に返った。
お互いに可愛いだとか好きな人だとか言って気まずい雰囲気になったのもあって今はもう顔が見れそうにない。
こっそり伺うようにして視線だけ奏に向けると、同じようにしてこっちを見ていた彼女と目が合って再び俯いてしまう。
「はぁ…で?私はどうかしら?」
深い溜め息をついた後、そう言って衣装を見せるように手を広げた祈織。
スラッとした細身の長身である祈織の体にぴっちりとフィットした黒の軍服がかっこいい。衣装自体のかっこよさはもちろんだが、しっかりと祈織が着こなしていると言える感じだ。
しなやかな曲線に合わせて艶やかな光沢を軍服が放っている。
「かっこいいよ、祈織!でも…ちょっとタイト過ぎない?」
「そうね…でも、普段は着ないような物だから意外と楽しいわ。男装もした事ないし」
「ちょっと毛色が違うけど何となく執事にも見えるから、私と2人で結構それっぽい絵になるかもね!」
「ふふ、そうかもしれないわね」
うーん、後で先輩に写真を撮っても大丈夫か聞いてみようかな。もしOKなら皆で一緒に写真を撮ってみたい。
「ねぇねぇ春乃ちゃん、私はどぉ〜?」
ふと背中に重い何かを感じると耳元で吐息混じりに囁く詩音の声が聞こえた。
ゾクゾクと背筋に登る妖しい何かに心を擽られつつ、背中にしなだれかかる温もりに離れてもらって詩音の全体像を目に映す。
「うん、チラッと見ただけだったけど…改めて見てもびっくりするくらいしっくり来るね…」
私の目の前に居たのは下手をすれば痛いイメージが先行しかねない、ふわふわふりふりの魔女っ子コスプレをした詩音だった。
ニチアサ女児アニメに出てきそうな見た目である。
「いやぁ〜、着る前はちょっと恥ずかしかったけど着てみたら自分でも意外なくらいしっくりきたよねぇ」
ちょっとアイドルっぽくない?なんて言いながら楽しそうに詩音が笑っていて、見ているこっちまで楽しくなってきた。
すると、ずっとニコニコとこちらを見ているだけだった先輩が少し大きめのカメラを持って近づいてくる。
「皆さん、楽しんでもらえているようで何よりです。どうでしょう?記念に1枚撮ってみませんか?」
「え!?いいんですか!」
「ぜひ撮りましょう!」
「思い出に1枚欲しいわね」
「私の可愛い所撮ってください〜」
そうして何故か私が中心に連れていかれ、左右に奏と詩音、後ろに祈織が立ち───
パシャリ。
私達にとって最高の思い出の1つとなるであろう、初めての写真撮影が行われた。
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【何となくのコスプレイメージ】
春乃→『アズールレーン』:シリアス
奏→『ロストディケイド』:アリス
祈織→『アークナイツ』:スカイフレア(をパンツスタイルにした感じ)
詩音→『プリコネ』:ハツネ
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