女の私にヒロイン達が恋をしたらしい
今回は前話までを通して春乃がどう変わっていくのか、変わっていったのかをお楽しみください。
また、今話が物語全体で見て
これまでの約20話で舞台となる学園の大雑把な説明や、春乃含め他メインキャラクター達の絡み、今後どうなっていくかの指標を設定しました。
もちろん、この後も2章以降が投稿されます。拙作ながら皆さんに読んでいただけるように頑張るので、応援してくれたら嬉しい限りです。
では、1章のエピローグです。どうぞ。
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【1章:入学編 エピローグ】
既に高くまで昇った土曜日の太陽が窓から室内を明るく照らしていた。テーブルの上に並ぶ朝食がキラキラと輝いている。
「ハルちゃん、あーん♡」
「……」
「春乃、ぜひ私の料理も食べてほしいわ」
「……」
「うわ、美味しい!春乃ちゃん、2人の料理すっごい美味しいよ!」
「……うん、そうだね」
異常なまでに私に近い奏と
それはもう頑なに守りきった。
気分が高まって流されそうになった心を理性という楔で何とか打ち付け抵抗する。これがどれほどまでに辛く難しい出来事だったかは想像してもらう他にない。
天使と形容するに相応しい奏、儚さと凛々しさを併せ持つ美女の祈織、小悪魔な誘惑で心を手玉に取る
その辺の経験に乏しい私からすれば未知の領域、想像の中の世界であってまさか自分が…と朝になって精神的にキている。恋のA.B.Cで表現すれば女の子同士なのにBに片足を突っ込んでしまった。
そう、B。確かに純潔という意味での貞操は守れた。が、Bなのだ。キスのA、そして愛撫のB。私から積極的に触れこそしなかったもののあちら側からは色々と弄り回された。
…は、初めてのちゅうも…奪われちゃった…
でも、嫌じゃない。嫌じゃなかった。
これが前述した私が精神的にキている理由だ。
お風呂場で私の体が女の子を受け入れ、その後は心も女の子同士を良しとしつつある。
自分が馬鹿みたいに思えるほど、チョロい。前面に押し出された好意に心も体も大きく揺さぶられている。
嫌じゃない…嬉しい…気持ちいい…もっと…
それはきっと奏と祈織、詩音の3人とだから思えた感情。誰とでもそう感じられる訳じゃない。
そんな心の声が昨晩の内に何度脳内で繰り返されたことか。そんな中でも「私達はまだ恋人じゃない」という最後の砦がCに辿り着くのを精一杯阻んだ。
……でも、もう認めなくちゃいけない。
私はたぶん、女の子
ううん、女の子
自覚した感情に夜のドキドキが蘇る。瞳の潤みが、熱を持った吐息が、破裂しそうな鼓動が。全部の要素が私にとってのその感情を理解させた。
──女の私がヒロイン達に恋をしたらしい。
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ということで小説のキャッチコピーも回収して1章:入学編 エピローグでした。
今回、祈織さん、阿澄さんと呼んでいた2人を心の中の独白とはいえ呼び捨てになっていて、それまでにどんなやり取り等があったのか…や、ファーストキスを体験したという描写がありつつも『誰と』を明確にしていないという点。
これらは皆さんが誰としたのか自由に脳内補完してください。誰よりも愛情表現がダイレクトな奏か、積極性と思い切りでは誰の追随も許さない祈織か、蠱惑的な微笑みで惑わす小悪魔の詩音か…。
想像の余地で今は濁させて貰います。
また、1人だけ描写が薄く春乃に恋心を抱いているのかどうかも明確に表されていない詩音については2章以降で書いていく予定です。
また、章タイトルの変更を行いました。
✕1年生:春→〇1章:入学編
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