自己紹介:1
無事に入学式が終わり、クラスひと塊毎に担任となる人に連れられて私達7組はこれから自分達が勉強をする事になる教室へとやって来た。
黒板に掲示されている表を元に、出席番号に照らし合わせた席へと向かい座る。私、三日月 春乃は教室の左後方が自分の席となった。
これに私は少し震える。
そう、この席は多くの学生が羨む窓側後方の席でありつつ、元陰キャである私にとっては良い意味でも悪い意味でも目立たない地味っ子にも愛される席なのだ。
そして中学時代まで、私はこの窓側後方の席で苔の様に目立たず無害に生活してきた。その記憶が今、蘇る。
私はこんな後方の席で無事にキラキラした世界の仲間入りが出来るのだろか?ハブられたりしないだろうか…?苔むしたりしないだろうか!?
「はいはーい、皆さん注目!」
そんなふうに私が不安に襲われる中、教卓で小柄な女性の先生がピンと背を伸ばして声を張る。
「私が今日からあなた達のクラスで先生を担当します、
ふわふわとカールして毛先が跳ねた亜麻色の髪、くりっと丸い目、瑞々しい唇。
私も人の事を言えないが相当身長は低そうだ。私よりも低い。下手をしたら150cm無いんじゃないだろうか?
そんな一見幼女にも見えなく無い彼女は立派な教師、羽場 紫先生。これからの学園生活で沢山お世話になることだろう。生徒からの人気も多く出そうな先生だ。
「では、さっそくですが皆で簡単な自己紹介をしていきましょう。名前、好きな物、今年度の抱負。この3つでお願いします!」
どうやら早速クラス内での自己紹介が始まるらしい。名前、好きな物、今年度の抱負がテーマだそうだ。
ふむ、好きな物は……自分磨き?抱負は……陽キャの仲間入り?
いやいやいや。こんなのじゃ変だろう。どうしよう、世の明るくて可愛い女の子達はどんな事を喋るんだろうか…
タピオカ卍?彼ピ募集中?
今更ながら、自分磨きばかりでコミュニケーション能力を養っていなかった事に絶望しそう。
「見本として私からしますね」
羽場先生、最高のお手本を見せてください!
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