入学式:2


「新入生の方はそこにある掲示板でクラスと出席番号を確認してください!また、学園寮に入寮する生徒は書類を持ってこちらの列に並んでください、名前の照会をしています!入学式の開式までに手続きが出来なかった場合、閉式後にも受け付けていますので忘れずにこちらへ来てください!保護者の方は会場にご案内致しますので、そちらの職員の指示に従うようお願い申し上げます!」


美しい装飾の施された白椿学園の校門をくぐり大きな道を通って進むと、中央の広場で教職員であろう女性が大きな声で新入生達を案内していた。


私も周りの新入生に習って多くの人でごった返している掲示板前に潜り込み、自分の名前──三日月みかづき 春乃はるのを探す。


「えっと…三日月、み、み、み〜……」


この学園は大型で一学年のクラスも多いため自分の名前を探すのもかなり大変だ。


1組、2組、3組……と、順に探していく。


そして、見つけた。


「「あった!7組!……え?」」


私の声と重なるようにして隣から声が聞こえてきた。


それは水のように澄んでいて、鈴のように凛とした声。


私は何事かと声のした方向へ顔を向ける。その先に居たのは身長156cmと小柄な私からして少し見上げることになる160cm以上はありそうな女の子。


陽の光を吸収してキラキラと輝く髪、どこまでも光が抜けていくような白いたま肌、桜のように淡い桃色の可愛らしい唇。


目が合った。力強く、それでいてどこまでも優しさを感じさせる瞳。綺麗な人だなぁ…


「綺麗…」


「なんて可愛らしいの…」


「「…え?」」


…っ、今声に出てた!?初対面の人にいきなり…うぅ、恥ずかしい。


ていうか、今この人も可愛らしいとかなんとか──


「いたいた。春乃、入寮の手続きはしたの?」


「あっ…お母さん。今クラスの確認してて入寮の手続きはまだだよ」


私が家を出た後、学園へお父さんと車で向かって来たであろうお母さんに後ろから声をかけられた。自分のクラスも確認出来た事だし…と、鞄から今日からお世話になる学園寮に提出する書類を取り出して列に向かった。


ふと気になって振り返り、掲示板のある方を見る。


そこにはもう…さっきの綺麗な女の子は居なかった。

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