大輪の華、今咲き誇る。薫る蜜に寄るも華〈阿澄 詩音〉:1

頑張った。私、超頑張った。


妄想・思考に耽けっていたせいで自分に自己紹介の番が回って来た事に気が付かず、先生に名前を大きな声で呼ばれた事に驚いて椅子を大きく鳴らして立ち上がる。


それに対する周囲の反応。


自意識過剰なのは分かっていても込み上げる羞恥心に、やっとの思いで打ち勝った私はなんとか持ち直して自分の自己紹介をやってのけた。


「み、三日月 春乃です!好きな物は恋愛物の作品で、今年度の抱負は勉強とか運動とか、れ…恋愛とか色々頑張ることです。よろしくお願いしまひゅ!」


と、少し吃ったり噛んでしまったりしたが終わってみれば案外呆気なく、周りからはパチパチと拍手の音が聞こえてくる。クラス内を見渡してみても、まったくもって嘲りの視線は感じられない。


天使様も美人さんもにっこりと微笑んでこっちを見ているだけで、特に変に思われていなさそうで良かったと私は胸を撫で下ろした。


私の番でほとんど終盤に差し掛かっていた自己紹介もすぐに終わり、様々な内容のプリントが配布された後、ゆかりんの案内で学園の中を一通り歩き回る。


そんなこんなで結構な時間が経ち、入学式初日である今日は早くも日程を消化し終わって放課後となった。


放課後になったのを機に早速友人を作ろうと自らの席を立ち他の人のところへ出向く生徒、早々に下校しようと教室を出て行く生徒など、それぞれが放課後となった今思い思いに過ごす中、一際クラス外の人を含めて生徒達が集まって来る空間が存在する。


そう、この7組の教室だ。


「うっわ…やっぱり間近に見ると周防さんめちゃくちゃ美人じゃね!?」


「本物のブロンドはあんな綺麗なんだな…」


「あれでしかも受験で1番とかどんだけだよ」


「まさに学園の天使だな!」


「なぁおい、見ろよ。あそこにもすっげー可愛い子がいるぜ」


「美人と美少女の間って感じだな」


「周防さんが学園の天使なら、あの子が学園のアイドルって所か」


「おいおい…他の女子も普通に可愛いし、7組のレベル高過ぎじゃねぇか?顔面偏差値お化けかよ」


「くぅ〜、7組の男子が羨ましい!」


好奇心が人を呼び、1人…また1人と人数が増え、今では何クラス分の生徒が集まっているのかも分からない程に7組の教室の外に人が集まっている。


そのお目当ては天使様こと周防 奏さんと、美人さんこと藤野 祈織さん。


2人は教室の外からの多くの視線に晒されつつ、席の近い人だったりとお喋りをしていた。どうやらもう既にお友達が出来始めているらしい。


ヒロインのコミュ力もまたお化けである。


彼女達のコミュ力を目の当たりにし、私も誰かに話しかけに行くべきだろうかと考えていると後ろから声をかけられた。


「ねぇねぇ、三日月さん…だよね?」




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今日はこの続きをもう1話、夜の10時くらいに予約投稿します。

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