大輪の華、今咲き誇る。薫る蜜に寄るも華〈阿澄 詩音〉:2

「ねぇねぇ、三日月さん…だよね?」


「え?あ、はい!三日月です!えっと……阿澄、さん?」


「正解!阿澄 詩音です。よろしくね」


「三日月 春乃です。えっと…よろしく?」


振り向くと、そこには髪の毛をボブカットにした大きく輝く瞳の眩しい活発そうな女の子が立っている。


クラスメイト達の自己紹介の記憶を大急ぎで掘り返し、この人が一番最初に自己紹介をした阿澄さんであることを事をなんとか思い出した。


「いやぁ、急に話しかけてごめんね?なんかさ、自己紹介でポンコツの香りがしたから興味が出てね。良かったら友達になってくれないかなぁ〜って」


「ポ、ポンコツ言うな!」


「あはは!ごめんごめん。揶揄いがいがあるなぁ」


このちょっとしたやり取りのおかげもあってか、私と阿澄さんはすぐに打ち解けることが出来た。


改めて簡単な自己紹介をしたり、どの辺に住んでるとか、休日は何をしているかとか、色々と話していく。


「へぇー、そのヘアアレンジ自分でやってるんだ。難しそうだけど意外と簡単だったりするの?」


「うーん…慣れるまでは結構難しかったかな。それと、髪の毛がサラサラで髪質が柔らかくないと大変かも」


「なるほど。……確かに三日月さん髪の毛サラサラだね。それに、百合の花みたいな甘くて良い匂いがする」


「ひゃっ…ちょ、触られるとくすぐったいし、匂いを嗅がれるのは…」


「なに、恥ずかしいの?女の子同士のスキンシップなんだからこれくらい普通でしょ。ていうか、髪の毛だけじゃなくてお肌もすべすべだね。どんなケアしてるの?唇もぷるぷるで綺麗なピンク色だし、おっぱいも大きくて柔らかいねぇ」


「はひ…その、あぅ…ゃめぇ…」


これが一般的な女の子同士のスキンシップなんだろうか?女の子の距離は近いって聞くし…でも、恥ずかしいし擽ったい。おまけに、胸を触られたのもあってちょっと変な声が出てしまう。


「あはは、予想通り。いや、想像以上だよ、三日月さん───今すぐ食べちゃいたいくらい」


「ふえぇ!?」


「冗談だよ♡」


「もぅっ!」


舌舐めずりをしてそう言う阿澄さんは、怖いくらいに艶っぽかった。背筋がゾクゾクして、頬が赤くなっていくのが自分でもよく分かる。


それでも、努力をして磨き上げた自分を褒められるというのは何よりも幸福な事だった。


バンッ!!


突如として教室内に大きな音が響き、ビクリと体を震わせつつも音の発生源に目を向けると…どうやら音がしたのは周防さんの居る方で、手を机に叩きつけるようにして固まっている。


「………あぁ、申し訳ありません。ちょっと手が滑ってしまいました。すみません皆さん、用事があるのでそろそろ帰らせて頂きますね」


話していたクラスメイトにそう言ってスタスタと教室の出入口へと向かって行く天使様。


ドアを開いて廊下に出る時、彼女は目を細めて私の居る方を見た。目が笑っていないのに口はどこまでも大きな弧を描いている。


阿澄さんと話していて、うるさくし過ぎたのだろうか?気分を悪くさせたのかもしれない。


そして、なんだか敵に回しちゃ行けない人を敵に回したような、どこまで逃げても追いかけてくる蛇のようなイメージが私の頭の中を支配した。




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次は『綺麗な華には毒がある。ネコにとって百合は毒〈周防 奏〉:1~2』か、『解語の華の一目惚れ。恋煩いに薬無し〈藤野 祈織〉:1~2』のどちらかになる予定です。


またヒロインちゃん達にはそれぞれコンセプトというか、〇〇系〇〇といったキャラ付けがされています。読んでみて「この子はこういうキャラなのかな?」「あの子はどんなキャラなんだろう?」と、楽しみにして貰えたら嬉しいです。

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