どんな事でも貴方となら:2


私達が今いる場所は学園内に複数ある体育館の内の1つ、広々としていて空調設備等も完備されたそこはスポーツをするのにも観るのにも活動しやすい場所になっている。


そんな所に居る私達の目の前で、綺麗な放物線を描いたボールがリングに掠ることなく網の音だけを鳴らした。


「ふぅ…久しぶりにやったけど意外と出来るものね」


「かっこいい…」


「そう?…春乃に言われると照れるわね」


私の呟きに薄らと頬を朱に染めた祈織が恥ずかしそうにはにかむ。そう、私達は今バスケットボール部にお邪魔させてもらっているのだ。


つい数分前までは男子バスケ部を見学していたが、どうせならと誘われた女子バスケ部で経験者だと言う祈織がシュート練習に参加しているのである。


スラッとした長身の祈織がシュートを打ち、それが美しく決まる様に私は思わず目を奪われた。中学校では陸上部だったらしいが、基本的に祈織はオールラウンダーらしい。バスケットボールもお手の物と言った感じだ。


「ねぇねぇ藤野さん、ぜひ女バスに入らない?貴方なら即スタメン級だよ?」


「すみません、先輩。嬉しいんですけどもっと他の部活も見学してみたいので…他の部がピンとこなければ考えます」


「…分かった。なら、1度だけ手合わせ願えない?やっぱり逸材を見つけたなら何本か勝負してみたいじゃない」


「そうですね……まぁ、何本かなら。皆も少し時間がかかってしまうけれどいいかしら?」


「えぇ、構いませんよ」


「祈織のかっこいい所もっと見てみたいな」


「ま、そんなに急いでないしねぇ」


そして、祈織と女子バスケットボール部の部長さんの1on1、5本勝負が始まることになった。




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