I gonna be OK!


結論から言おう。一触即発の空気を纏っていた祈織と周防さんは───


「ハルちゃんはとっても可愛いんです!背がちっちゃいのもあって歩幅が狭いんですけど、それでトコトコと小動物みたいに歩くんです!」


「分かるわ!母性とは違うんだけど、守ってあげたくなるというかずっと見守っていたくなる愛くるしさがあるのよね!」


「はい!」


「周防さん、いや…奏と呼んでいいかしら?」


「ぜひ。私も祈織さんと呼ばせてください。あ、連絡先交換できますか?実は私、ハルちゃんとは小さい頃の知り合いで、秘蔵の写真があるんですよ!」


「私、あなたとは意外と仲良くやっていけそうだわ!」


なんかすごく意気投合してました。


「まさか修羅場!?」「私のために争わないで!」なんて言うつもりもなかったけど、なんだろう、釈然としない。


なんか2人でわいわい話してるのもずるい。むぅ。


「それでそろそろ本題に入るのだけれど…奏、あなたは春乃の事が好きなの?それは、友情じゃなくて恋愛として?」


「はい。私は小学生の時に色々とありまして、その時に私を救ってくれたのがハルちゃんだったんです。ずっとずっと、お慕いしていました」


「そう…私は、一目惚れよ。奏に比べたら思いの年数も、それにかける気持ちの積み重ねも遠く及ばないわ。でも、私の抱く春乃への恋心は確かよ」


「女の子同士という事に何か思う所はありますか?」


「無いわ。性別の壁は確かにあるけれど、それでも結ばれるのが悪だなんて思わない」


「譲ってくれる気も無いということですね?」


「当たり前じゃない。初恋が悲恋である必要はないでしょう?」


「えぇ、当然です」


なにやらウマがあったようで固い握手を交わしている。うーん、不思議な光景だ。私を好きだと言ってくれる人がどちらも女の子で、そこに好敵手的な友情が芽生えているらしい。


その後は手早く連絡先を交換し、周防さんが私の子供の頃の写真を何枚も送っている。


「あのぅ…周防さん、写真は恥ずかしいんだけど。それに祈織もあんまり見ないで…」


「まぁ!周防さんだなんて他人行儀に呼ばないでください!ぜひ、奏と!それと、天使の尊さを布教するのは慈善活動です」


「そうよ春乃。これでまた、私という1人の人間が救われているの」


「祈織さん、実は他にアルバムが家にありまして…後日持ってきます」


「ちょっと待って、想像しただけで鼻血が止まらないわっ…!」


「邪教だよ…狂信者だよ…御神体は今まさに恥ずかしさで昇天しそうだよ…」


私は諦めた。


◇◆◇


「あははっ、いやぁ春乃ちゃん、すごいねぇ!」


「う…すごくなんてないよ…私が一番何が何だか理解出来てないんじゃないかな」


入学式で私に一目惚れした人が即日告白してきて、それが女の子。さらには幼少期に仲の良かった男の子が実は女の子でずっと私に恋心を抱いてくれていた。2人が遭遇して険悪な雰囲気になると思いきやまさかの意気投合、恋の良き隣人として手を取り合う。


これなんてラノベ?


いやいや、私が今まで読んできたラノベでもさすがにこんな展開無かったよ?百合物をそもそも読まないっていうのはあるかもしれないけど。


私はいつからラノベ主人公になってしまったんだ。しかもこうもはっきりと恋心を告げられてしまえば、さしもの鈍感系も難聴系もキャラとしては既に役に立たない。逃げる気もないけど、始まった瞬間に逃げ場なんて無くなっている。


しかも、今私の心を最も揺さぶっているのは私自身だ。


ここまであけすけに好意をぶつけられて、嬉しく無いはずがない。


それが女の子だっとしても、意識しないはずが無い。


もしかしたら、私はもう百合の園に片足踏み込んでいるのか…?2人とも、私なんかが圧倒的に霞むレベルの美少女だ。嫌でも視線が釘付けになるし、意識してるせいで胸のドキドキが止まらない。


私、どれだけチョロインなの…


でも、大丈夫。


私はまだ惚れてない!











たぶん…。

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