概要
世界は〝感情(イロ)〟で溢れてる。
死神。それは冥府への案内人。人の臨終に立ち会い、死者の魂を導く者。
彼らは看取った死者の記憶を覗いてしまうがゆえに感情を持たない。そういう風に〝つくられている〟。来る日も来る日も人の一生分の記憶を追体験していると、心なんて簡単に壊れてしまうからだ。
だから彼らは夜ごと眠るたびに感情をどこかへ置いてくる。眠る前に覚えた喜びも悲しみも、目覚めと共に朝日に溶けて消えてゆく。
英国で死神として働いていた「僕」はある日、上司から日本への異動を命じられた。死神たちは冥府への導きの対価として、看取った死者から好きなものをひとつだけ譲り受けることを許されている。
「僕」は死者の魂のかけらを対価としてもらい受け、そのかけらを絵の具に変えて絵を描く変わり者の死神だ。どうせ忘れてしまうのならば、その日美
彼らは看取った死者の記憶を覗いてしまうがゆえに感情を持たない。そういう風に〝つくられている〟。来る日も来る日も人の一生分の記憶を追体験していると、心なんて簡単に壊れてしまうからだ。
だから彼らは夜ごと眠るたびに感情をどこかへ置いてくる。眠る前に覚えた喜びも悲しみも、目覚めと共に朝日に溶けて消えてゆく。
英国で死神として働いていた「僕」はある日、上司から日本への異動を命じられた。死神たちは冥府への導きの対価として、看取った死者から好きなものをひとつだけ譲り受けることを許されている。
「僕」は死者の魂のかけらを対価としてもらい受け、そのかけらを絵の具に変えて絵を描く変わり者の死神だ。どうせ忘れてしまうのならば、その日美
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!転生への導きの対価に、死神は魂という『色』を願う。
これは、死した人間の魂を冥府へ導く『死神』の物語。
死神に魂はない。
降り積もる感情は日ごとリセットされ、彼らに想いという重石を抱くことを許さない。
理を遠くし、永年を積み重ねる彼らは、ただ務めを果たすために在り続ける。
そんな摂理の中。
物語の舞台に立つ『彼』は、務めを果たす死神に許された対価として、看取った魂から『色』を得ていた。
死の刹那、その生を象徴するように『色』を得る魂。
『彼』は魂そのものが産み落とす『色』で、キャンバスに絵を描く。
看取り、送り届けた魂が、末期の願いと共に『彼』に見せてくれたものを、確かに形にするために。
きっとその美しさをあなたに伝えるには、私の言葉だ…続きを読む