死神の絵の具

作者 長谷川

24

8人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

これは、死した人間の魂を冥府へ導く『死神』の物語。
死神に魂はない。
降り積もる感情は日ごとリセットされ、彼らに想いという重石を抱くことを許さない。
理を遠くし、永年を積み重ねる彼らは、ただ務めを果たすために在り続ける。

そんな摂理の中。
物語の舞台に立つ『彼』は、務めを果たす死神に許された対価として、看取った魂から『色』を得ていた。
死の刹那、その生を象徴するように『色』を得る魂。
『彼』は魂そのものが産み落とす『色』で、キャンバスに絵を描く。

看取り、送り届けた魂が、末期の願いと共に『彼』に見せてくれたものを、確かに形にするために。

きっとその美しさをあなたに伝えるには、私の言葉だけでは何かが零れ落ちてしまうだろう。
だからどうぞ、『彼』が…… 死神が見た極彩色の美を、あなた自身の目で見届けてほしい。
魂を失い、がらんどうのまま立ち尽くす『彼』が、その空っぽを震わせて見出した鮮明な美しさを。

あなたの目は、その色に、どんな名をつけるのだろう?

★★★ Excellent!!!

冥界に送った死者の魂の欠片を絵具として集める主人公・死神。
感情も過去の記憶も持たない、とされる死神は看取った人々の魂に魅入られ、その魂で絵を描き続ける。
それは死神流の弔いなのか。
はたまた、生きとし生けるもの達への賛辞か。
他者の魂の痕跡をなぞるかのように絵筆を運ぶ死神の姿は非常に真摯だ。

「世界は感情(イロ)で溢れてる」というキャッチコピー通り、看取られる登場人物たちそれぞれの魂は、必死に生きた証として美しく輝いている。

読み進める毎に、読者の心の中に様々な魂(色)が蓄積されていく。
そしてエンディングでそれぞれの魂が圧倒的存在感を持って一気に華やぎ、互いの色で互いを照らし合い、読者の心の中で白金に輝くことだろう。
人生の最後に「こう輝きたい」と思わせる、絶対に読むべき物語だ。