ほねおりぞん

 むかしむかし、とある果樹園の家に、ぬすっとが集まって、ざいさんをねらっていました。


 しかし、庭先にぬすっとがいることを知った、家の主人は、わざと大きな声で言いました。




「つまよ。ここ最近、ぬすっとがととうをくんで、ぬすみをはたらいているらしい。わしらも用心して、宝箱に金や宝石をしまって、井戸にしずめておこう。そうすれば安心だ」




 これを聞いたぬすっとたちは大喜び。


 なにせ、一番に見つかる可能性のある、家の中にしんにゅうしなくてよくなったのでした。


 あとは、宝箱をしずめたという、井戸をめざして、庭にしんにゅうするだけでいいのです。


 ところが、宝箱は井戸の底の方に沈んでおり、このままでは、井戸の水をみんな、かいだしてしまう他、宝箱をぬすみだす手立てが、ありません。






 そこで、ぬすっとたちはバケツを持って、井戸の水をかいだしました。


 水はどんどんかいだされて、流れていきました。


 それを知った家の主人は、この流れを果樹園にながしこんで、すっかりうるおしました。


 さて、ぬすっとたちが、井戸からひきあげた宝箱ですが……。


 なんと、中身は石ころばかりでした。


 家の主人は、ぼうぜんとしている、ぬすっとたちにむかって言いました。




「果樹園に水をやってくれてありがとう。たいへん助かりましたよ。ほうしゅうはありませんが、そのかわりと言ってはなんですが、そのたからばこをあげます」




 それでぬすっとたちは、すっかりだまされたことに気づきましたが、へとへとで、すごすごといなくなるしかありませんでした。

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