太陽とオンドリ
むかしむかし、太陽は生き物がたえられないほどに、強く光りかがやいていました。
けものも、鳥も、人間もブツブツ文句を言いました。
それを聞いた太陽が、むっときて地底にかくれてしまいました。
こまった生き物たちは、なんとか太陽をせっとくしようと、オンドリを地底へやることに決めました。
「ええ? とちゅうでネコにおそわれたら、嫌だあ……!」
とオンドリはこわがりましたが、つとめをはたすべく、地底へおもむきました。
「太陽さん、みんなあなたがいなくてこまっているよ。帰ってきておくれでないかい」
「ふん! わたしがいなければいいって、みんな言ってたよ」
「それは、いったいぜんたい、だれが言っていたの?」
「みんなだよ」
「みんなってだれです? そんな、正体もわからないものの言うことをまにうけて」
「みんなっていうのは、けものや鳥や人間たちだよ。かげでこそこそ悪口を言っているんだ。知ってるよ」
「まあまあ、太陽さん。そんなかげぐちしかたたけない、よわむしのためにこんな地底へひっこそうなんて、あなたもたいがいです。いいかげんに、きげんをなおして」
「だって、わたしが地上にいる理由がないんだもの!」
「泣かないで。きっと、あなたをひつようとするものは、いますから」
「そんなこと……」
「そんなことありますって」
「いいや、やっぱりもう、地上のだれのためにも、わたしは光をなげかけたりはしない」
「ならば、太陽さん。わたしは地上へ帰らねばならない。そのとき、ネコがわたしをおそいにくるといけないから、せめてその光でわたしを守ってください」
そのとき、太陽のねじくれた心は、だいぶいやされておりました。
自分を追ってここまで来てくれたオンドリのために、太陽は何かしてあげたいと思いましたので、こう言いました。
「ああ、いいとも。オンドリさん、あなたになにかあったら、わたしがかけつける。守ってあげるから、いつでも呼びなさい」
「ありがとう」
そういって、オンドリは地上へ帰るとちゅう、わざと大声をあげました。
すると、太陽がかけつけて、地上をてらしました。
こうして、オンドリは、このやり方で太陽を呼ぶことに決めたのです。
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