概要
率直に言って、気に食わない。
ただそれだけのことから発想した、作者の実体験交えまくりの中編小説。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!世間を斜めに見る彼は
読了後にふと思う、彼の先はどうなっていくのだろう、と。うまくいこうといかなかろうと、きっと彼は何かに気付くのだろうなと、そんなことも思ったのである。
くだらないと思っていたものを実際に体験し、そうして変わりゆくものはきっとあるだろう。
主人公はどこか嫌な奴かもしれない。
でも現代社会において、こういう人は他にもきっといる。
幸せそうにしやがって、そんな気持ちを抱える人は少なからずいるのだから。
主人公はある意味「子供」なのだ。未だおとなになりきれない、年齢だけ重ねた子供のようだ。
だからこそ、憎めない。
彼もいつか「おとな」になるのだろうか。
なんとなくコーヒーが飲みたくなるような作品…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「すっぱいぶどう」のお味はいかが?
恋愛なんてくだらない。
優しさなんて得にならない。
他人と慣れ合っても意味がない。
そんな孤独感への陶酔は、誰にだって覚えがあるだろう。
そして、大概の人間はその間違いに(肯定的か否定的かは別にして)気づいて大人になっていく。
本作の主人公は、その間違いに気づくことなくある意味「子供」のままで27歳になってしまった男である。他人に対する無関心を貫く一方で、隠遁生活に突入する度胸もない。単に他人の幸せをやっかみ、自分の手の届かないことを侮蔑するのが精一杯のしょーもない男である。
この物語はこのしょーもない男が、初めて女性をデートに誘う、ただそれだけの話である。
しかし、彼の言葉に呆れた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!斜めに見つつ、斜に構える
主人公を一言でいうならば、この相反する言葉が浮かんでしまいます。
斜めに見えるとは「ひねくれた見方をする」という意味になり、斜に構えるとは「真剣に取り組む」という意味になるので真逆なのですが、その矛盾が両立してしまうのが「人間」を書けている事の証明だ、と私は感じました。
一人称で綴られている主人公の心情は、どこか他者を小馬鹿にしたような態度に感じられる事が多く、だからこそ世の中を斜めに見ているように感じるのですが、しかし最終的に「だからしない」ではなく、行動を起こすところに、斜めに見つつ、斜に構えている、という矛盾を解消しているように感じるのです。
自己正当化のために斜めに見て…続きを読む - ★★★ Excellent!!!女は生まれながらにして女優である。
『案山子』、『空模様』、『君が人生の時』、『濡れ髪』、『液』、『ブレーキ』、『半笑いの情熱』、『好奇心』、『熱』と来て、本作が記念すべき10作品目であ~る。(たぶん
『半笑いの情熱』に比べて短いながらもそこそこの分量があり、読後感も悪くない。そんな一品。
現実は、もちっとややこしかったりねばねばしてた気もするが、お話としてはあっさりしていた方が読みやすくてイイネ。
作者の努力で(?)いつも少し地味ーな主人公をキャラ付けして、一見粗暴キャラっぽくはなったけど・・・ぽいだけだったかも。殻を破る過程って感じかな。
ヤパーリ、中身はいつもの主人公で安定。ある意味、お約束になって来た感もある。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世間を斜めに見ているけれど、真摯な主人公に共感
喫茶店でいちゃつくカップルを揶揄してみたり、世間に対してかなり上目線だったり、主人公は俗にいう”いけ好かないタイプ”。
けれども、彼女の一人も欲しくなり、この主人公が”消去法によるロックオン”で、社内の女子社員の一人をデートに誘う辺りから彼の好感度がどんどん増してゆきます。
このデートの場面だけではなく、作品の随所に挟み込まれた主人公の”本音”は、ちょっぴり笑えて、この作品の魅力でもあります。
デートの結末はどうなったか?
ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、ラストはこの作者らしい読後感の良い結び方で閉じられています。
ぜひ最後までお読みください。デートの舞台になってい…続きを読む