夏の終わりのメタファー

 夏の終わりの夕立を駆ける

 雨宿りのふたりはこずえかげ

 真実を知るメタファーを見つけた


 そのメタファーは妙な色合いと

 独特の形状をともなっていたから

 詩人にしか扱えないことだろう


 僕は詩人ではないから知らんぷり

 目の見えない君が不思議そうに語った

「どうしてこんなところに落ちてるの?」

 

 まだ不完全なメタファーを君が拾い上げると

 慌てふためいた僕がたしなめた

「そんなものを拾ったら大変なことになる」


 でも僕の意図とは無関係に

 梢の下で物事は進行してしまった

 しずくが水たまりを跳ねる音が聞こえた


 ……

 ……

 ……


 その夏を境に君とは会っていない

 あれから君は詩人になれたのだろうか

 世界はまだメタファーを見つけていない

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