　ぼくは色褪せたぬいぐるみのトニーです

　もう何十年もおもちゃ箱を根城にしています

　ご主人様は今日もぐっすりと眠っています

　せまくても楽しい我が家ですね

　おもちゃの兵隊が突撃して来ても

　ぼくはあなたを守り抜きます

　悪い魔女にだって負けません

　必ずあなたを救い出すでしょう

　ご主人様、割れた窓ガラスがキラキラと

　目映く世界を映しています

　ご主人様、あなたはどうして今日も

　横たわったまま動かないのでしょうね

　ほら、あの日のピクニックのように

　広い野原で、またお茶をしましょうよ

　雨の日も風の日も、ぼくたちは

　身を寄せ合って暮らして来たのです

　ご主人様、ご主人様、ご主人様……

　････････････････････････････････････

　もう動かないあなたを、せめていつまでも

　ぼくはこの部屋で守り抜きましょう

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