　人気（ひとけ）のない広場のかたすみに

　涼しい秋の風が吹いています

　　　古びた木造の校舎からは

　　　放課後の予鈴の鐘が鳴りました

　ざわざわと鳴る常緑樹の葉擦れと

　どこかで聞こえる運動部の声と

　　　あたたかな陽だまりで待つ私と

　　　やわらかに漂う金木犀（きんもくせい）の香りと

　ぎこちなく積み上げた言の葉と

　褪せることのない胸の高鳴りと

　　　手紙を読んだあなたの足音と

　　　背伸びしても届かないこの空と

　未完成の私のおさない心と

　まぼろしのように淡い物語と

　　　永遠のようにとどまる瞬間と

　　　あなたと

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