誕生

 それはまるでひと時の眠りのようでした

 おさなはあたたかな陽射しのなかにいます

 (金と銀の波はいくたびも寄せては返し

  鳥と魚がかわるがわる子守唄していました)


 人の子はやがて船を浮かべました

 未踏みとうの大地へ往還おうかんをくりかえし

 (幾億の星の下でふたつのまぶたが

  夢を見るために闇をさえぎりました)


 数多あまたの地図が役目を終えるころ

 どこかの街でふたりの恋人が出会うころ

 (時と次元をこえ)(おさな児は蜃気楼をこえ)


 ……そしてあなたは遠い日の子守唄を聴くでしょう

 (やがてあらゆるもののあいだにいて

  孤独と音楽を知ることになるでしょう)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る