School Days

 誰もいなくなった校舎の裏側に

 君が育てた草花が咲いている

 あの頃は苦手だった土の匂いや草いきれ

 今でもそんなに好きではないけど


 授業をさぼって日向ぼっこをした屋上

 手摺りからは錆びた鉄の匂い

 君と二人手を取って駆け出した

 そんなささやかな記憶が今も僕を暖める


 手を引かれるばかりだった僕は今日もまだ

 君の手を引っ張ってあげられる強さはないけれど


 すれ違った心の痛みを

 思い出で埋め合わせようとするのは

 そんなに弱虫だったのかな?

 今でも答えは出ないままでいる


 誰もいなくなった校舎の屋上に

 僕が立てたアンテナが聳え立っている

 思いは何処に届くのか?届かないのか?

 そんな事は考えるだけ野暮だと思うことにした


 神に抗う時間を積み重ねつつ

 君の優しい指先で僕は目を覚ましかけた

 あと五分と駄々をこねつつ

 今ではこんな朝も嫌いじゃない


 手をつないで駆け出したあの日のように

 君の手は今日も温かくて土の匂いがする

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