永遠の愛の物語

 明るい陽射しのなかでふたりは出会った

 もう記憶もおぼろだけど

 怖がらなくてもいいと君は言っていた


 森には生命いのちあふれていた

 ふざけて抱きついた僕を

 赤ん坊のように君はあやしていた


 少しだけ育った僕は生意気で

 素直になれないでいて 君をいつも

 困らせてばかりいた


 もう大人になりかけの僕は

 背伸びして恋をしていた

 君の素肌がいろんな意味で眩しかった


 君は少女のままで僕は年を重ねた

 沢山の子どもに恵まれたけど

 君を追い越していく日々は少し悲しかった


 大人になれない君は泣いていた

 もう立ち上がれない僕のそばにいた

 朝の光を僕は見ることはなかった


 永遠の愛なんてものがもしあるならば

 多分もう僕らは知っていたんだ

 ふたつの墓の下でふたりは眠り続けた

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